NTTドコモ・ベンチャーズは、同社が運用するファンドを通じ、量子ドットレーザ技術を基盤に半導体レーザ部品や網膜走査型レーザアイウェアなどを開発・製造・販売するQDレーザ(神奈川県川崎市)に出資した。
半導体レーザは、光ファイバを使った通信データの伝送や、材料加工、シリコンフォトニクス(※1)を初め、自動運転車に搭載されるLiDAR(※2)などのセンシングや、高輝度でコンパクトなプロジェクタでの利用など、その市場規模は2022年には88億ドルにまで拡大すると見込まれている(※3)。
QDレーザは、2006年に富士通からカーブアウトし、ナノ結晶技術を生かして、高い温度でも安定動作する特徴をもつ量子ドットレーザの量産化に成功した半導体ベンチャー。
2018年には、その技術力を生かした小型・超微弱出力のレーザプロジェクタをメガネ型デバイスに搭載し、目の網膜に直接画像を投影して認識させる網膜走査型レーザアイウェアを世界で初めて商用化した。
QDレーザが開発した光で網膜に映像を描き出す技術は、フォーカスフリー(目の焦点調整が不要)という特徴を有し、屈折異常や角膜混濁の患者や弱視者などのQOL(Quality of Life)改善や、通常の視力を持つ人々にとっても、自然な拡張現実(AR:Augmented Reality)が体感ができると云う。
今後、NTTグループが持つ先端技術を活用した連携や新たなサービスの創出など、2020年およびその先を見据え、イノベーションを通じた社会課題の解決と新たな価値創造に向けた取り組みを進めていくとしている。
※1:シリコンに微細な光の通信回路を作り込み、さまざまな機能を持つデバイスを1つの小型チップに集積する技術。
※2:Light Detection and Rangingの略。レーザ光を利用した距離を測定する測量方法。
※3:Allied Market Research “Global Semiconductor Lasers Market: Opportunity Analysis and Industry Forecast, 2014 – 2022,” (https://www.alliedmarketresearch.com/semiconductor-lasers-market)
■QDレーザ:https://www.qdlaser.com/