NTNは、自社商品の環境貢献度を定量化し、各商品の環境価値を「見える化」する取り組みを開始した。
この取り組みでは、商品毎に環境効率を算出し、1997年当時の商品の環境効率と比較を行うことで、以降の新商品の環境ファクタ(環境貢献度)を導出。
試算では、20年前の商品を提供し続けた場合と比較して、現在提供する商品群では、2018年度実績で年間約140万トンのCO2排出量の削減効果を確認。これはガソリン約60万リットル相当の使用削減となると云う。
NTNは、自社商品の環境価値を「見える化」することで、今後のさらなる環境貢献新商品の開発と提供を加速するとしている。
1.環境貢献指標の策定背景
近年、国連による持続可能な開発目標「SDGs」でも提唱される「気候変動」が国際社会における重大な社会的課題となっており、世界各地で大雨や干ばつ、熱波などの異常気象が次々と観測されている。
また、今年7月に公表された国連の報告書では、「気候変動が持続可能な開発に向けた前進を脅かしている」と警告。この地球規模の課題に対して、さらなる対策の強化が急務となっている。
NTNでは、ベアリングを100年以上にわたって製造・販売。あらゆる機械の回転部を支え、摩擦を減らすことでエネルギー消費を抑えるベアリングをエコ商品と捉え、この商品を通じて省エネルギー社会に貢献していると考えている。
そして今回、同社の企業価値の明確化と、全社で定量的な認識を持つことによって生まれる技術開発の加速、モチベーションの向上を目的に、環境貢献指標の策定に至ったしたとしている。
2.環境貢献指標について
商品毎に導出した環境ファクタを5つのグレードに分類。自動車などの最終製品のエネルギー損失低減に寄与し、かつ1997年当時の性能と同じレベルの商品である「D-eco」と、それとの比較によって環境貢献度合いに応じた4段階のグレード(S-eco、A-eco、B-eco、C-eco)とした。
今年度は、NTNの売上高の約6割を占める自動車用ドライブシャフトとハブベアリングを対象として、環境貢献度を算出。今後は、産業機械向けベアリングや自然エネルギー商品など、全商品に対象を拡大していく。
(1)NTN商品の分類・グレードと定義
(2)環境ファクタ・環境効率の算出方法
※1:D-eco品。
※2:QFDの手法を用いて価値(最終製品でのCO2削減寄与を含む)を数値化。
※3:気候変動対策への貢献を評価する観点から、環境負荷を「原料採掘~生産」で発生するCO2量として算出(一般社団法人 日本自動車部品工業会の「LCI算出ツール」を活用)。
3.NTNの環境貢献度
NTNのドライブシャフトおよびハブベアリングの売上高において、環境貢献度が特に高いS~C-ecoグレードの販売比率は年々高まっており、2018年度で全体の79%を占め、2019年度はさらにその比率が増加し、S~C-eco品が83%になる見込み。
また、20年前の商品(D-eco)を供給し続けた場合と、現在の環境貢献度の高い商品が最終製品(自動車)に使用された現状を比較すると、CO2排出量の削減量は2018年度で約140万トン(ガソリン約60万リットル相当)となり、2019年度では約150万トンの効果を見込んでいる。
算出基準 : 一般社団法人 日本自動車部品工業会 JAPIA LCI算出ガイドライン(使用段階LCI算出ツール)
*:最終製品にD-eco品が使い続けられていた場合のCO2排出量を基準とし、そこからS~C-eco品の寄与により最終製品の想定期間にわたって削減できるCO2量を当社商品販売年度における「CO2削減貢献量」としている。