NTNは6月24日、二輪車のスイングアーム用「ポリルーブ針状ころ軸受」の量産を拡大すると発表した。針状ころ軸受は、潤滑剤“ポリルーブ”適用によるメンテナンスフリーの実現や、組み付け時の取り扱い性に加え、二輪車の設計の多様化に対応する耐高温性などが評価され、欧米メーカを中心に採用が拡大していると云う。
二輪車のスイングアームは、タイヤ(車軸)と車体(フレーム)をつなぐリアサスペンションの部品のひとつ。走行時、路面からの衝撃やタイヤの振動に応じて、フレームの連結部を軸に上下に動くことで、衝撃や振動を吸収し、二輪車の安全性や快適性を支えている。
フレームの連結部に使用される軸受には、耐荷重性と小型化が求められることから、一般的にはシェル形(*1)針状ころ軸受(総ころ形/*2)が使用されるが、この軸受には、定期的なグリース給脂や、ハウジングや軸に給脂穴が必要な他、取付け時にころが外れやすいなどといった課題があると云う。
今回、NTNが量産を拡大する針状ころ軸受は、潤滑剤に固形の「ポリルーブ」を使用することで、これら課題を解決。
ポリルーブは、NTNが独自開発した固形潤滑剤(*3)で、強い振動や遠心力、水分などが伴う環境でも軸受から漏れにくく、長期にわたって優れた潤滑性能を発揮するため、グリースの給脂および給脂穴の設置が不要。また、ころを保持する機能も持つため、組み付け時にころが外れる心配もなく、組み付け時のグリース塗布も不要であるため、組み付け時の取り扱いも容易になるとのこと。
さらに、ポリルーブ商品は、二輪車の設計が多様化する中、マフラーとスイングアームが近くなることで、スイングアーム部が高温になる場合等、高温環境への対応も可能であることから、趣味性の高い中型・大型バイクを製造する欧米メーカを中心に、採用が拡大していると云う。
<特長>
1. メンテナンスフリー:
・取り付け後のグリース給脂が不要。
・ハウジングや軸に給脂穴を設けることなく使用可能。
2. 取り扱い性 軸受からころが外れない
・グリースを塗布せずに取り付けが可能。
3. 高温対応:
・マフラー(排気管)周りの設計自由度が向上。
NTNは、今後もポリルーブ商品を、市場に提案・提供することで、二輪車の安全性・快適性の向上に貢献すると共に、100年以上にわたって培ってきたトライボロジー技術を活用し、顧客の多種多様なニーズに対応する商品の開発・提案を進めていくとしている。
*1:精密絞り加工(プレス加工)で成形された外輪を適用した針状ころ軸受。薄肉の外輪による軽量さとコンパクトさを特長とする。
*2:“ころ”を一定間隔に保持する保持器を用いない針状ころ軸受。保持器がないため、保持器付よりも“ころ”本数を多く適用することが可能で、高負荷容量を特長とする。
*3:グリースと樹脂を加熱・冷却処理して固めたもので、軸受け使用時に生じる熱や遠心力を用いて潤滑剤の油分を軸受に供給する。
[問い合わせ先]
自動車事業本部 事業戦略本部 事業企画部
電話:03-6713-3666
問い合せフォーム:https://www.ntn.co.jp/cgi-bin/inquiry/common/index.cgi
■(NTN)ポリルーブベアリング(カタログ/PDF):https://www.ntn.co.jp/japan/products/catalog/pdf/3022.pdf