NTNは6月14日、センサや発電ユニット、無線デバイスを軸受に内蔵し、温度・振動・回転速度の情報を無線送信する「しゃべる軸受」を開発したと発表した。装置外側からの状態監視に比べて、より高度に、異常の早期検知が実現できると云う。
製造現場などに於いては、生産効率の向上のため、設備の稼働状態を監視し、そのデータに基づいて的確かつ計画的にメンテナンスや部品交換を行うことで、設備のダウンタイム(稼働停止時間)をできるだけ抑えたいといった強い要求や、DXやIoT技術が進展に伴って、場所や時間の制約を受けない装置の遠隔監視や自動モニタリング、入手した状態監視情報の活用による製造品質の安定化や向上へのニーズも高まっていると云う。
NTNでは、こうした状態監視のニーズに対して、風力発電分野に於いて、2014年に大型風力発電用軸受の状態監視・データ解析に関するNEDOプロジェクトに参画し、現在、多くの企業に状態監視システム(CMS/*1)を提供(*2)する他、工作機械主軸用「センサ内蔵軸受ユニット(*3)」や「産業用IoTプラットフォーム向け軸受診断アプリ(*4)」、「NTNポータブル異常検知装置(*5)」などを開発。軸受の状態監視に必要なセンサの選択や、解析ソフトの開発など、他社に先んじて技術を向上。
そして今回、寸法や負荷容量を変更することなく、標準軸受(*6)にセンサや発電ユニット、無線デバイスを内蔵、回転に伴って発電する電力により、センサや無線デバイスを動作させ、センサ情報を自動で無線送信する「しゃべる軸受」を開発した。
「しゃべる軸受」では、センサを軸受に内蔵しているため、外付けにする場合よりも感度良く状態検出や異常の早期診断ができる他、寸法・負荷容量共に標準軸受と同一であるため、既存設備に使用されている軸受からの置き換えも可能、さらに電源供給やデータ送信のためのケーブルも不要であることから、軸受の状態監視を容易に実現できると云う。
NTNは今後、同開発品のテストマーケティングを開始し、具体的なニーズの探索と市場への提案を推進。先ずは、生産設備で多く使用されている深溝玉軸受の商品化を進め、その後適用する軸受の種類や品番などを段階的に拡大するとしている。
<主な特長>
1.互換性
寸法および負荷容量を変えることなく標準軸受(*6)にセンサ、発電ユニットおよび無線デバイスを内蔵し、標準軸受との互換性を確保。
2.高度な状態監視・異常診断
軸受に内蔵したセンサで状態を検出することで、機械装置の外側で検出する場合に比べ、高感度に軸受の振動・温度を検出。
3.高い利便性
電源供給およびデータ送信にケーブルが不要であり、機械装置への装着が容易。
<用途>
産業機械全般(モータ、ブロワなど)。
<使用構成例>
中期経営計画「DRIVE NTN100」Phase 2に於いて、「モノ」から「コト」への業態の変革に向け、サービス・ソリューション事業の強化に取り組むNTNは、同開発品により高度な状態監視の実現に貢献。適切な交換時期を通知するなどの状態監視サービスの提供を通じて、サービス・ソリューション事業の展開や、それに連動した補修軸受の販売拡大にも取り組んでいくとしている。
*1:Condition Monitoring System。
*2:(NTN 2019年1月24日付ニュースリリース)NTN製風力発電用状態監視システム(CMS)の国内導入進む<https://www.ntn.co.jp/japan/news/press/news201800120.html>。
*3:(NTN 2020年11月13日付ニュースリリース)工作機械主軸用「センサ内蔵軸受ユニット」を改良<https://www.ntn.co.jp/japan/news/new_products/news202000068.html>。
*4:(NTN 2021年7月29日付ニュースリリース)産業用IoTプラットフォーム向け軸受診断アプリを開発<https://www.ntn.co.jp/japan/news/new_products/news202100060.html>。
*5:(NTN 2020年5月25日付ニュースリリース)軸受の異常検知サービスを拡充<https://www.ntn.co.jp/japan/news/new_products/news202000025.html>。
*6:主要寸法及び形式が国際的に標準化された転がり軸受。
※タイトル写真はサンプル品。実際の商品では、電子回路基板は保護材で覆われる。
[問い合わせ先]
NTN 商品開発研究所
・電話:0538-21-1743
・お問い合わせフォーム:https://www.ntn.co.jp/cgi-bin/inquiry/common/index.cgi