同軸e-Axle向け大径深溝玉軸受
NTNは5月21日、電気自動車(EV)の駆動源として使用される同軸e-Axle向けに、耐電食性を持ち、標準品との比較で2倍以上となるdmn値(軸受の回転性能を表す指標、軸受ピッチ円径<mm>×回転速度<min-1>)1150万の高速回転性能と、標準品比50%以上の低トルク化を実現する大径サイズの深溝玉軸受を開発した。
同軸e-Axleにおける大径深溝玉軸受の適用部位
dmn値150万の高速回転性能と低トルク性により、同軸e-Axleの更なる小型・軽量化、高効率化およびEVの航続距離の延長に貢献する。
この同軸e-Axle向け大径深溝玉軸受の開発を手掛けた背景は、近年、EVの航続距離の延長を目的に小型・軽量な駆動源として同軸e-Axleが注目を集めているため。
今回の同軸e-Axleは、モータと遊星歯車減速機から構成され、減速機の出力軸がモータ軸の内径を貫通する構造のため、使用されるモータ支持用軸受は、平行軸e-Axleに使用されるものと比べて、軸受内径が50~90mmの大径サイズとなる。
こうした体型サイズの軸受は、モータの高出力化への対応、低トルク化、電食への対応(電食とは、モータからの漏洩電流でスパークが発生して軌道面が溶融する現象を指す)など、航続距離の延長に向けて一層の小型・軽量化および高効率化が進むことが予想される。
今回の開発品の特長は以下の通り
1. 高速回転性能
- 使用する転動体(ボール)の個数および保持器のポケット数を削減することで、高速回転時に保持器にかかる遠心力を低減することに成功した。
- 併せて保持器の形状を工夫し、必要な強度にあわせた最適な材質を採用することで、高速回転時の遠心力による保持器の変形を最小化した。
- これらにより、軸受内径50mm~90mmの大径サイズの軸受において標準品比2倍以上となるdmn値150万を実現した。
2. 低トルク性
- 使用するボール個数を削減し、標準品比で50%以上の低トルク化を実現した。
3. 耐電食性
- 絶縁体であるセラミック製のボールを使用することで、電食の発生を防止。
- 今後、同軸e-Axleが一層普及していくことが予想される中、NTNは、同軸e-Axleの更なる小型・軽量・高効率化ニーズを先取りした製品を提案する。
※なおNTNは本商品を5月22日~24日にパシフィコ横浜で開催される「人とくるまのテクノロジー展 2024 YOKOHAMA」に出展する。
用途
EV用同軸e-Axleのモータ
構造
図:構造
標準品との比較
表:許容dmn値の解析結果
表:回転トルク 計算結果