ノリタケカンパニーリミテド(以下、ノリタケ)と東京ガス、東京ガスエンジニアリングソリューションズ(以下、TGES)の3社は、11月4日、特殊セラミックラジアントチューブバーナを採用した世界初の水素燃焼式リチウムイオン電池(以下、LiB)の電極材用連続焼成炉(ローラー搬送で連続で通過させ熱処理を行う焼成炉)「C-SERT-RHK-Nero(C:セラミック + SERT:シングルエンドラジアントチューブバーナ + RHK:連続焼成炉 + Nero:ギリシャ語で水の意味<水素燃焼型>」を開発したと発表した。
従来、水素専焼による高温焼成はCO2が発生しない一方、特に狭空間においてNOX(窒素酸化物)の発生抑制、安定した加熱などに課題があったと云う。
今回3社は、ノリタケの焼成炉技術(食器製造で培ったローラーハースキルンによる大量技術)と東京ガス・TGESの水素燃焼技術(省エネバーナで1,200本の販売実績)を融合することで、この課題を解決。水素を燃料に、LiB電極材の製造工程で求められる高温域(1,000℃以上)での安定した熱処理が可能な、焼成時のゼロカーボンを実現する革新的製品、水素燃焼式LiB電極材用連続焼成炉「Nero」を商品化した。
ノリタケ、東京ガス、TGESは、Neroの高効率な加熱技術を、LiB電極材に限らず、高温域での安定した熱処理が求められる自動車(ホットスタンプ等)や5G向け電子部品などの用途にも応用し、様々な製品の加熱工程の脱炭素化に貢献するとしている。
[製品の特長]
1.水素燃焼式の採用によるゼロカーボンを実現
2.水素燃焼時のNOX(窒素酸化物)発生を抑制
・水素専焼による高温焼成は燃焼速度が速く、火炎温度が高くなることから、特に狭空間においてNOXが発生しやすい課題がある中、独自の燃焼技術により、NOX発生の抑制が可能。
3.天然ガス燃焼時と同等の温度精度を実現
・耐熱・耐蝕性能(高温で発生する汎用セラミックの寿命は短くする酸化現象)・耐リチウムアタック性(リチウム溶融で炉壁等を損傷させる現象)の高い特殊セラミックを発熱体(ラジアントチューブ)としてバーナに採用し、従来の電気加熱式の課題であった耐久性を解決。
・独自の燃焼技術により、温度分布の平準化やスムーズな温度追従性、酸素濃度の維持など安定加熱を可能とし、天然ガス燃焼時と同等の温度精度を水素燃焼で実現。
4.様々な高温域での熱処理への応用が可能
・LiB分野:正極材、負極材、次世代電池材。
・自動車分野:超高張力鋼板(ホットスタンプ)、焼結部品、プラグ、センサ、触媒、磁性材。
・通信機器分野:5G向け電子部品、フェライト、セラミック基板、ターゲット材 等。
5.水素・天然ガス混焼への対応
・現状は高価な水素を天然ガスと混焼することで、エネルギーコストを低減しながら、天然ガス専焼と比べCO2排出量の削減が可能。
[商品ラインナップ]
■都市ガス燃料型 C-SERT-RHK
・電気式と比較し最大40%エネルギーコストの削減が可能。
・Nero同様特殊セラミックラジアントチューブバーナにより高耐久性を実現。
■電力対応型C-SERT-RHK-Fos(ギリシャ語で光の意味、高耐食性ヒーター型を差す)
・Nero同様特殊セラミックラジアントチューブの採用により従来の電気式と比較して高い耐久性。
・天然ガス・水素ユーティリティー確保が困難な場合を想定し、電力にも対応。
[会社概要]
<ノリタケ>
– 社名:株式会社ノリタケカンパニーリミテド
– 創立:1904年1月1日
– 代表者:代表取締役社長 執行役員 加藤 博
– 資本金:156億3,200万円
– 売上高:1,070億円(2020年度[連結])
– 従業員数:5,029名(2021年3月31日現在)
– 所在地:愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番36号
– HP:https://www.noritake.co.jp/
– 主な事業:
工業機材事業(研削砥石などの製造・販売)、セラミック・マテリアル事業(セラミック関連商品などの製造・販売)、エンジニアリング事業(工業炉などの製造・販売)、食器事業(陶磁器食器などの製造・販売)。
<東京ガス>
– 社名:東京ガス株式会社
– 創立:1885年10月1日
– 代表者:代表執行役社長 内田 高史
– 資本金:1,418億円
– 売上高:17,651億円(2020年度[連結])
– 従業員数:6,882名(2021年3月31日現在)
– 所在地:東京都港区海岸1-5-20
– HP:https://www.tokyo-gas.co.jp/index.html
– 主な事業:
ガス事業、電力事業、海外事業、エネルギー関連事業、不動産事業など。
<TGES>
– 社名:東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社
– 創立:2015年4月1日
– 代表者:代表取締役 社長執行役員 小西 康弘(東京ガス株式会社 常務執行役員)
– 資本金:100億円(東京ガス株式会社100%出資)
– 売上高:1,393億円(2020年度)
– 従業員数:1,190名(2021年4月1日現在)
– 所在地:東京都港区海岸1-2-3汐留芝離宮ビル
– HP:https://www.tokyogas-es.co.jp/
– 主な事業:
LNG受入基地、高中圧導管、ガス供給設備、発電設備、エネルギー利用設備等のエネルギー関連設備の計画・設計・施工・オペレーション・メンテナンス、関連する機器等の販売に関する事業、マッピング・周辺業務に関する事業(ソフト開発・販売、データ構築・更新、機器販売等)、オンサイト・エネルギーサービス事業、地域冷暖房事業など。
■(ノリタケ)脱炭素工業炉技術情報:https://www.noritake.co.jp/noritake_dift/