日産自動車は4月10日、ピックアップトラック「ナバラ」新型車の生産準備のため、プレトリア・ロスリンにある南アフリカ日産の車両組立工場(ロスリン工場)に30億ランドの投資を行うと発表した。
「ナバラ」は、2016年のインターナショナルピックアップ賞をはじめ、発売以来、世界で数々の賞を受賞。2018年の「ナバラ」グローバル販売台数は231,435台(前年同期比6%増)で、日産のピックアップトラックとして最も売れているモデルとなっている。
ロスリン工場では現在「NP200」と「NP300」を生産、南アフリカ国内のほか、パンアフリカ地域の45ヵ国に向けて輸出。今後、新型「ナバラ」の生産が加わることにより、日産の小型商用車(LCV)製造拠点としてのロスリン工場の機能が拡大される。
なおロスリン工場での新型「ナバラ」生産は、2020年に開始される予定。これにより、工場での直接的な雇用に加え、現地のサプライチェーン全体で約1,200名の新たな雇用を創出。また、現在の年間生産台数35,000台に対し、市場状況次第によっては「ナバラ」生産が年間約30,000台加わると見込まれるため、生産体制を現在の1シフトから2シフトに増やす予定だと云う。
今回の発表は、南アフリカ共和国のシリル=ラマポーザ大統領、日産のアフリカ・中近東・インド担当の専務執行役員のペイマン=カーガー氏、南アフリカ日産社長のマイク=ウィットフィールド氏出席のロスリン工場の式典で行われた。
ラマポーザ大統領は、この発表に対して以下のように話している。
「自動車産業はすでに南アフリカの製造業で最も大きな産業であり、年間GDPの約7.0%と、製造業生産高の3分の1を占めています。日産が『ナバラ』をここで生産することを大変嬉しく思っており、このような重要なモデルを確保した同社の従業員に祝辞を述べたい」。
また、日産のカーガー専務執行役員は、以下のように話している。
「アフリカは日産の中期計画『日産M.O.V.E. to 2022』の実現に向け重要な市場です。日産はアフリカ・中近東・インド地域におけるプレゼンスを倍増したいと考えています。
すでにアフリカでは、エジプト、ナイジェリア、南アフリカで生産工場を有し、現在アルジェリアに工場の開設を計画しているなど、日産はこの地域で存在感を増しています。
今日の発表は、世界でも重要なマーケットであるアフリカが継続的に成長していることを改めて示しています。また、南アフリカでは、長期的な投資が可能となる安定した市場環境が政府によって整えられています」。
「ナバラ」生産に向けた投資で、ロスリン工場は、フレキシブルな製造ラインや新しい設備を導入。また、作業員の研修や技能向上も実施される。
日産は、中小企業のサプライチェーンやスキル開発を支援する現地政府機関である自動車産業開発センター(Automotive Industry Development Centre:AIDC)と協力し、新型「ナバラ」の生産準備を段階的に展開・支援するため、15の黒人所有企業を新たに選定。生産を拡大し、現地調達への支出を増加していくにあたり、これらの企業と提携していくとしている。
また現在までに、AIDCと協力して、黒人経済力強化政策(Broad Based Black Economic Empowerment:BBBEE)の新規事業プログラムにより、8つの新たな部品メーカーと関連会社を設立、総予算の16%を黒人所有企業に投じて来ている。
なお日産は現在、合計318のBBBEEサプライヤーと取引があり、これは南アフリカにおける日産サプライヤー全体の約34%に相当する。
南アフリカ日産ウィットフィールド社長は、以下のように話している。
「『ナバラ』は南アフリカに最適のモデルです。南アフリカ政府による自動車生産開発プログラム(Automotive Production and Development Programme:APDP)の大きな支援も受け、その生産を行う体制は整っています。
自動車の車両は、すでに南アフリカの総輸出の約14%に上ります。『ナバラ』の生産は小型商用車(LCV)の輸出拠点としてロスリン工場の機能を拡大し、自動車産業にさらに貢献するなど、APDP次期フェースの目指すところに一致しています」。