クアンタムコアは11月30日、日産自動車とバッテリーの電流波形から車両電子ユニットの動作状況を判定する実証実験(Proof of Concept、以下「PoC」)を実施したことを発表した。
従来、複数ユニットの状況を判定することは困難であった。なぜなら、バッテリーに流れる電流は、複数ユニットの動作電流が重なった波形となっており、従来手法では限界があり、また一般的な機械学習を用いた方法には、モデルの作成に大量の動作パターンデータを与える必要があり、データ作成が課題であった。
そこで、PoCではクアンタムコア独自のレザバーコンピューティング技術Qoreシリーズによる時系列処理技術を用いることで、少ない学習データで微小電流ユニットを他ユニットが動作したまま、高い精度での動作判定を実現できることを確認した。
同社によると、本技術は、電流波形から得られた時系列の特徴量に対する解析に有効であり、少ない学習データでも高い精度で電子機器の動作パターンを推論することができる。予め大量の動作パターンの作成が困難な製造現場への導入が可能な他、将来的にはクアンタムコアの技術はエッジによるリアルタイム学習も行えるため走行車両への導入も視野に入る。そのため工場出荷後のリアルタイムの車体保全への適用が期待されるという。
なお、すでにこの技術は自動車技術研究会およびエレクトロニクス実装学会のインテリジェント実装技術研究会において、共同発表されているほか、実工場現場への導入に向けた開発を開始している。