日産自動車(以下「日産」)は5月28日、欧州で生産するモデルとして初めて今夏発売予定の新型「キャシュカイ」にアルミ部品のクローズドループ・リサイクルプロセスを適用すると発表した。
クローズドループ・リサイクルは、生産時に発生した廃棄物やスクラップ、そして回収した自社の使用済み製品を同等の品質を維持した材料として再生し、再び自社製品の部品に採用する手法。
また、このプロセスは、北米の新型「ローグ」を生産する日産自動車九州と北米日産スマーナ工場にも採用されており、日産は今後、その他の工場や車種にもこのプロセスの適用を拡大することを検討している。
新型「キャシュカイ」は、フードやドア、フロントフェンダーにアルミニウム板を採用したことなどにより、旧型車と比較して約60kgの軽量化を実現している。これにより、CO2排出量の削減とともに、将来の電動パワートレイン等の新技術の搭載が可能となっている。
これらのアルミニウム部品を製造する設備として、英国のサンダーランド工場は2020年に導入した2台目の超大型プレス機と、リサイクル用の大型エア搬送システムを備えている。フードやドアを型抜きする際に発生する金属スクラップは、このエア搬送システムにより細断。細断されたスクラップは、時速150kmというスピードで排出され、1時間で7トン以上のスクラップを処理する。
処理されたスクラップは、アルミニウムの材種毎に区別された状態で回収される。これにより、日産は高品質のスクラップをサプライヤーに還元することができ、還元されたスクラップは再びアルミ板に加工され、新型「キャシュカイ」のパネル部品を含む日産の生産用アルミとして再出荷される。アルミスクラップをリサイクルすることで、原材料から同量のアルミニウムを作るのに必要なエネルギーの90%以上を節約することができるとともに、新規採掘資源の使用量削減にも貢献する。
英国日産自動車製造会社副社長のアラン ジョンソンは、「私たちは今後も、生産効率と持続可能性の向上に取り組んでいきます。今後ともサンダーランド工場はカーボンニュートラルの実現に向けて重要な役割を果たすでしょう」と述べた。