日産自動車と神戸製鋼所は12月19日、高炉工程に於けるCO2排出量を大幅削減した神戸製鋼の低CO2高炉鋼材「Kobenable Steel(コベナブル・スチール/*1)」とグリーンアルミニウム原料を用いたアルミ板材を、日産車に来年1月以降順次適用していくと発表した。なお、量産車へのコベナブル・スチールの採用は初になると云う。
日産は、2050年までに製品ライフサイクル(*2)全体でカーボンニュートラルを実現することを目指している。
今回日産は、この取り組みを進めるため、同社の自動車に、従来製品と同等の品質を維持しつつ、製造時のCO2排出量を大幅削減できる神戸製鋼の低CO2高炉鋼材「コベナブル・スチール」と、グリーンアルミニウム原料を用いたアルミ板材を採用することを決定。
重量の約60%が鉄、約10%がアルミから構成される自動車部品をこれらに置き換えることで、製造時のCO2排出量の削減を大きく前進させる。
なお、低CO2高炉鋼材については、マスバランス方式(*3)により製造時のCO2排出量を100%削減した「Kobenable Premier(コベナブル・プレミア)」を採用。具体的な使用量については、今後協議して決定する予定だと云う。
またグリーンアルミニウムについては、太陽光で発電した電力のみで電解精錬された地金(製造時のCO2排出量を約50%削減/*4)から製造されたアルミ板材が提供される。
日産では今後、このグリーンアルミニウム原料を使用したアルミ板と、同社自動車製造現場で発生したリサイクル原料も活用することで、製造時のCO2排出量をさらに削減していくとしている。
*1:神戸製鋼が保有するミドレックス技術(天然ガスを使った還元鉄製鉄法。高炉法に比べ、製鉄工程でのCO2排出量を20~40%抑制できることなどが特長)を用いて製造したHBI(熱間成形還元鉄)を加古川の高炉に多量に装入することで、高炉工程に於けるCO2排出量を大幅に削減(神戸製鋼「国内初 低CO₂高炉鋼材“Kobenable Steel”の商品化について」(2022年5月17日付ニュースリリース):https://www.kobelco.co.jp/releases/1210184_15541.html)。
*2:クルマのライフサイクルには、原材料の採掘から、生産、クルマの使用、使用済み自動車のリサイクルや再利用までを含む。
*3:製品の製造工程に於いて、ある特性(例:低CO2品)を持った原料とそうでない原料とが混在する場合に、その特性を持った原料の投入量に応じて、製品の一部に対してその特性を割り当てる手法。CO2排出量低減効果を特定の鋼材に集約。
*4:地金サプライヤー従来比。