日本ペイントホールディングスは4月17日、オーストラリアの塗料会社、デュラックスグループを約3000億円で買収することを自社取締役会で決議し、同日発表した。
今買収対象のDuluxGroup (デュラックスグループ/Dulux)は、オーストラリア・ニュージーランド(ANZ)地域を中心におよそ5割のシェアを持ち、ハイブランドの塗料・DIY 用品の製造販売事業を行う地域最大手。今事案では同社の発行済株式100%を取得する。
日本ペイントホールディングスは4月17日、オーストラリアの塗料会社、デュラックスグループを約3000億円で買収することを自社取締役会で決議し、同日発表した。
今買収対象のDuluxGroup (デュラックスグループ/Dulux)は、オーストラリア・ニュージーランド(ANZ)地域を中心におよそ5割のシェアを持ち、ハイブランドの塗料・DIY 用品の製造販売事業を行う地域最大手。今事案では同社の発行済株式100%を取得する。
取得手段は、豪州上場会社の株式を100%取得するべく、豪州会社法に基づくScheme of Arrangement(スキーム・オブ・アレンジメント/SOA/上場会社の20%以上の議決権を保有する場合に適用される株式公開買付で豪州裁判所による承認、豪州外国投資審査委員会の承認、ニュージーランドにおける外国投資局の承認等が必要とされる)の手続きを踏み、デュラックスグループの株主が保有している全株式を、日本ペイントが金融機関からの借り入れる現金対価で取得する予定。
従って新株発行に伴う資金調達はしない。ちなみにこの事案は、先の3月下旬に前産業革新投資機構(JIC)社長の田中正明氏が日本ペイントHD会長に就任してから初の買収案件となる。
今後は、7月に買収先の株主総会で75%以上の承認を得た後、8月に同社の全株式を取得する運び。現行で日本ペイントは、収益の大半をアジア地域に依存しているため、豪州最大手企業の買収を通じて収益基盤の分散を図る予定だ。
ちなみに日本ペイントは、2017年末に米塗料大手アクサルタ・コーティング・システムズの買収交渉(1兆円超)に於いてシンガポール塗料大手でアクサルタの筆頭株主ウットラムグループのの抵抗で断念したことから以降、買収交渉については慎重を期してきた。
肝心の買い付け価格は1株あたり9.65豪ドルで、オーストラリア証券取引所での買収計画決定前日終値(7.67豪ドル)より3割弱ほど高い。
デュラックスグループの2018年9月期の売上高は約1480億円。買収後は日本ペイントの販路でも商品の取り扱いを開始する予定だ。買収後、デュラックスグループの1480億円の額面が統合された場合、その売上高規模は120%に達する。
同社買収による影響等の見通しでは、今後、明らかになった時点で速やかに開示するとしているが、新たな事業地域の取得であることに加え、先の通り新株発行を伴う資金調達は予定しておらず、全額借り入れでの買収スキームとなる想定であることから、株主価値の希薄化影響は最低範囲で収まる可能性が高そうだ。