ニデックは6月3日、中国の現地法人であるニデックモータ(大連)(※)に於いて、自動車向けエアサスペンション用モータを新規開発したと発表した。
サスペンションは、従来コイルスプリングを用いて振動や衝撃を吸収し、車体の揺れを軽減する役割のみを果たすものであるが、エアサスペンションでは、空気圧を利用し、細かな車高調整が可能なことから、自動車の乗り心地を向上させるほか、高速走行時には車高を下げて空気抵抗を低減し、オフロード走行時には車高を上げて走破性を高めるなど、走行状況に合わせた車高調整調整することもできる。
ニデックが今回開発した製品は、このエアサスペンションのエアタンクに圧縮した空気を供給するエアコンプレッサーを駆動させるもので、同社が長年培ってきたブレーキ用モータやパワーステアリング用モータ等、ドライブトレイン向け製品での技術を活かすことで、「小型、長寿命、高起動特性」を実現したと云う。
[製品の特徴]
(1)小型:高トルク密度を追求し小型化を実現。限られたスペースへの搭載が可能。強磁性の磁気構造を採用することにより、性能を保証する前提で、小型化と効率化を実現できる。
(2)長寿命:ブラシレスモータ採用による長寿命設計。電子整流を採用するため、ブラシ付きモータに比べ、整流子摩損と機械故障のリスクを低減させ、長寿命を実現できる。
(3)高速起動応答性:迅速にコンプレッサーを駆動する起動特性。電子整流を採用するため、ブラシ付きモータに比べ、起動時の摩擦がより少なく、より速い起動応答を実現できる。
<仕様>
– 定格出力:300W
– 最大トルク:~1.3Nm
– 動作環境温度:-40~+120℃
– L寸:80 mm(ミニマム)
– モータサイズ:Φ65 mm(ミニマム)
二デックは、今後も〝軽薄短小技術〟、〝高効率化技術〟、〝制御技術〟を駆使した製品を開発し、自動車の進化に貢献する革新的なソリューションを提案していくとしている。
※1992年にニデックが中国本土で初めて設立した現地法人である同社では、自動車のブレーキ、ドライブトレイン、ステアリングなど主要機能に関わるモータ製品に加え、自動車の快適性を向上させる各種モータ製品(エアサスペンション用途、サンルーフ用途、シート調整用途、コラムアジャスター用途など)を開発・生産・販売。研究開発、生産技術を一体化し、各部門によるサイマル活動を通じて、「生産しやすく、品質の良い」製品を提供することを目指している。