日本電産は、電気自動車(EV)用トラクションモータとしてインホイールモータの試作品を開発した。
トラクションモータは、EVにおいて駆動力を発生させる中核部品。現在のEVは、車台に搭載したモータからシャフトを介して駆動力を伝達する方式が主流だが、インホイールモータは駆動輪のホイールの中に小型化したモータを搭載するもの。
トランスミッションやドライブシャフト等による摩擦抵抗がないため、高効率となり小型・軽量化が期待できるほか、駆動輪毎の独立制御によるTCS(トラクションコントロールシステム)やESC(横滑り防止装置)の性能向上が期待できる。
今回の試作品は、20インチのホイールに収まるサイズ、32kgと小型軽量ながら、1つで100kW と1,800ccクラスのガソリンエンジンに相当する出力を発生し、後輪駆動、前輪駆動、四輪駆動いずれの方式にも対応可能。
今年5月に量産車に搭載される日本電産のトラクションモータシステム「E-Axle(*)」の技術を応用・発展させたもので、2023年頃の量産を目指す。
自動車メーカー各社の電動化対応が加速している昨今、日本電産は、HDD用スピンドルモータをはじめとする超小型モータの磁気回路設計技術や、E-Axleで培ったトラクション用モータシステムの開発技術を活かし、低炭素社会の実現に貢献していくとしている。
[開発試作品の概要]
– 出力:100kW
– トルク:1,570Nm
– 動作電圧:240V
– 減速比:1:6
– 重量:32kg
– 最高回転数:7,500rpm
– 冷却方式:油冷式
– 特徴:
モータ、減速機を一体化した(インバータ別)油冷式トラクションユニット(ギアリダクション方式)。HDD用スピンドルモータをはじめとする超小型モータの磁気回路設計技術や、E-Axle開発にて培ったトラクション用モータシステム開発技術を応用。
*:(参考/2018年12月10日プレスリリース)日本電産のトラクションモータシステム「E-Axle」が量産車に初採用:https://www.nidec.com/ja-JP/product/news/2018/news1210-01/