日本電産は、EV向け一体型トラクションモータシステムの「E-Axle」のラインアップの拡充を行った。また、車載用ショートレンジレーダ(Short Range Radar:SRR)を新規開発した。
1.トラクションモータシステム「E-Axle」のラインアップ拡充
2019年4月から生産開始となる150kWモデルに加え、100kW、70kWの2機種を新たに開発。ギアボックス・インバータ・モータ一体化による小型・軽量モデルの特徴はそのままに、様々なセグメントの車種への搭載が可能に。これにより、グローバル市場でのニーズのほとんどがカバーできるようになった。
<モデル、 最大出力・最大トルク 、 外径(㎜/WxHxD)、重量、対応セグメント>
– Ni150Fシリーズ 、 150kW 3,900Nm 、 485×325×460 、 87kg、 B~C (D※)
– Ni100Fシリーズ 、 100kW 2,400Nm 、 390×345×425 、 54.5kg 、 A~C
– Ni70Fシリーズ 、70kW 1,600Nm 、 350×345×410 、 48kg、 A
※前後 1機ずつ搭載(4WD)の場合
2.SRR の新規開発
日本電産の遠距離用(※)ISF(Integrated Sensor Fusion)に搭載されている新型アンテナを応用し、世界で初めて1つのアンテナで中・近距離両方への対応を可能とするSRRを開発した。
SRRは搭載車の速度に応じて周波数を自動で切り替えることが可能で、低速時には解像度を優先した79GHz帯(最大検知距離20m、解像度10cm:高解像と共に方位の検知も実現)を、中~高速時では検知距離を優先した77GHz帯(最大検知距離70~90m、解像度50cm)を使用する。
現在の中~近距離用の車載用センサは、中距離用のミリ波レーダと近距離用の超音波センサの併用が主流となっているが、同社SRRではミリ波のみで中・近距離両方への対応が可能なため、低速時のパーキングアシストや横切り警報から中~高速時における車線変更時のブラインドスポット検知など、幅広い機能に対応。
また、近距離用の超音波センサが不要となるため、センサの総数の減少によるコスト削減や超音波に比べ検知角が広がることによる死角の減少など、多くのメリットが見込めると云う。
更に、通信用アンテナと同じ仕組みのため、SRRに使用される新型アンテナは、将来5G(第5世代通信)基地局用や、コネクテッドカー用としても高性能の実現が期待できるとのことだ。
※1:日本電産子会社による単眼カメラとミリ波レーダ一体型の世界最小ADASセンサの開発について:https://www.nidec.com/ja-JP/product/news/2017/news0907-02/
以上詳細については、以下日本電産のホームページの資料(PDF)を参照。
■(日本電産)車載事業とトラクション技術戦略:https://www.nidec.com/-/media/nidec-com/news/2019/0412-02/190412-02.pdf
■(日本電産)新型アンテナと製品応用(ADAS/5G):https://www.nidec.com/-/media/nidec-com/news/2019/0412-03/190412-03.pdf