オランダに本社を置くNexperiaは4月20日、車載アプリケーション、特にインフォテインメントや車載通信関連の車載ネットワーク(IVN)への搭載数が増加し続けている高速インターフェースの保護のための新しいESD保護デバイスを発表した。
データレートの高速化とクルマに搭載される電子機器の増加に伴い、昨今EMC(電磁両立性)保護の必要性がますます重要になっており、適切な保護の実現が設計エンジニアにとって課題となっている。
Nexperiaが持つTrEOS技術は信号整合性、システム保護、堅牢性というESD保護の3本の柱を最適化し、低いキャパシタンス、低いクランプ電圧、高いESD堅牢性を最適な形で組み合わせたデバイスを実現するというもの。
今回発表された新しいPESD4USBxシリーズは、このTrEOS技術を採用した合計12種類の高性能4チャネルESD保護デバイスで構成されている。信号整合性は各チャネルの超低ライン・キャパシタンス(最小0.25pF)と0.05pF未満のライン・マッチング・キャパシタンスにより実現。全製品が0.4Ωの低い抵抗とともに深いスナップバックを提供している。
また、PESD4USBxシリーズは最大±15kVのESD保護により、IEC61000-4-2レベル4とISO10605に適合。このパッケージ・サイズでは現在最高レベルのESD保護を実現していることから、同社ではPESD4USBxシリーズは集積密度の高い最新の車載システム設計に最適だとしている。
PESD4USBxデバイスはUSB 2.0、10GbpsのSuperspeed USB、HDMI 2.0、HDBaseTなどの広範なインターフェース標準のほか、増加している車載A/Vモニタ・ディスプレイやカメラに対応している。またGMSL、FPD-Link、LVDSなどのビデオリンク(SerDes)もサポートしているとのことだ。
同製品は車載アプリケーション向けに開発されており、AEC-Q101規格の2倍以上の信頼性基準を達成している。さらに、Nexperiaの最新のDFN2510Dパッケージ(SOT1165DとSOT1176D)は、サイド・ウェッタブル・フランク(SWF)が標準パッケージとして用意されており、自動光学検査(AOI)の使用が可能なことから、アセンブリ品質をさらに向上させるという。
Nexperiaのプロダクト・マネージャーであるLukas Droemer氏は、今回の製品発表について次のように述べている。
「クルマのありとあらゆる箇所で電子機器の搭載数が急増しています。加えて、高速データレートに対するニーズも高まっており、一般的なハイエンドA/Vアプリケーションで使用されているインターフェースもクルマへの採用が増加しています。電子機器の大幅な増加によってクルマは電気的ノイズの多い環境となっており、こうしたノイズの影響を受けやすいインターフェースには高性能ESD保護が必要です。私たちの新PESD4USBxシリーズは特に要求の厳しい車載マルチメディア・アプリケーション向けに、強力なTrEOS性能と車載グレードの品質を提供します」
なお、新ESD保護デバイスはすでにサンプル出荷と量産を開始している。