三菱ケミカルは、炭素繊維複合材料であるSMC(Sheet Molding Compound)の製造設備を、同社が44%出資するイタリア・モデナ市のCPC社(C.P.C. SRL)の隣接地に新設する。
同設備の稼働開始は来年9月を予定している。
三菱ケミカルが開発したSMCは、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の中間基材の一種で、長さ数センチメートルにカットされた炭素繊維を樹脂中に分散させたシート状の材料。プレス成形により2~5分程度の短時間で部材への加工ができることに加え、連続した炭素繊維に樹脂を含浸させた中間基材であるプリプレグと比べ、複雑な形状の部材の成形が可能だと云う。
SMCは現在、愛知事業所(愛知県豊橋市)で製造。国内では自動車のドアインナー・ラゲッジインナーやバックドアの構造材などに採用されている。
また、欧州では、CPC社を通じてCFRPを主構造材としたモビリティ分野の開拓を推進。現在、欧州の高級車メーカーを中心に複数社から材料認定の取得を受けるべくSMCの開発を進め、今後もその採用が増えていくことが期待されると云う。
三菱ケミカルでは、こうした旺盛な需要に応じるべく、欧州の自動車関連の顧客アクセスに優れるイタリア・モデナ市に生産設備を新設し、生産能力を増強。SMCの生産体制を愛知事業所とあわせて、グローバルに更なる拡販を進めていくとしている。
また今後も、日・米・欧にある炭素繊維の生産拠点と、三菱ケミカルアドバンスドマテリアル社(MCAM/※)のマーケティング力、セールスネットワークを融合させ、モビリティ分野に対し、最適なソリューションをタイムリーに提供すべく、事業を展開してくとしている。
※2019年4月1日付で旧 Quadrant AG社から社名変更。各種スーパーエンプラとフィラーの組み合わせ製品を展開。炭素繊維のみならず、ガラス繊維、ポリプロピレン繊維等と熱可塑樹脂を組み合わせた商品を全世界で展開。