日本電気(NEC)と日本航空電子工業は、無線通信機器に幅広く搭載可能な、メタマテリアルを活用した世界最小クラスの高性能アンテナを開発した。
新開発したのは、無線通信機器内部の基板表面に実装可能な超小型アンテナ。高い送受信性能を持つとともに、アンテナ実装場所の自由度も高く、Wi-Fi、Bluetooth、V2X(注1)、LPWA(注2)など、幅広い通信方式への適用が可能。
携帯通信機器や車載機器 、ネットワーク家電など、小型・多様化の進む無線通信機器での活用が期待できると云う。
NECはこれまで、人工材料メタマテリアルの構成要素の一種である、独自のスプリットリング(SR)共振器をアンテナ素子として採用した超小型μSRアンテナ(注3)を提供してきた(注4)。
今回、日本航空電子工業の精密加工技術を融合し、表面実装部品タイプのアンテナを共同開発し、取り扱いを容易にするとともに、さらなる高性能化を実現。
今後両社は、事業化を目指し、同アンテナの開発や実証を進めていくとしている。
なお、日本航空電子工業は、同アンテナの試作品を「CEATEC JAPAN 2018」(会期:10/16(火)~19(金)、会場:幕張メッセ)の展示ブースで展示する。
[新開発のアンテナの特長]
○精密加工技術により、高いアンテナ放射効率を持つ世界最小レベル(注5)の小型アンテナ部品化を実現
日本航空電子工業の高精度板金プレス加工技術により、微細で複雑なSR構造の形成を実現。これにより、μSRアンテナの部品化を可能とするとともに、90%以上のアンテナ放射効率(アンテナ性能)を実現した。これにより、従来の小型チップアンテナに対して、30%以上の通信エリア拡大を可能とした。
○実装場所の自由度が高く、基板設計時の制約を緩和
従来の小型チップアンテナは、アンテナ性能を引き出すために基板のコーナー付近に配置する必要があったが、新開発のアンテナでは、独自のSR共振器を用い、基板のコーナー以外の場所にも置くことが可能。実装場所の自由度が向上した。
注1)V2X(Vehicle-to-Everything):自動車とその周辺の様々なモノをつなぐ無線通信技術で、車両同士(Vehicle-to-Vehicle:V2V)、信号機や道路標識等の路側インフラと自動車(Vehicle-to-Infrastructure:V2I)、歩行者と車両間(Vehicle-to-Pedestrian:V2P)などの無線通信技術を総称する。
注2)LPWA (Low Power Wide Area):少ない消費電力で、km単位の距離を通信できる無線通信方式の総称。
注3:「NEC, メタマテリアルを応用し、無線モジュールの通信性能を向上する世界最小クラスのアンテナを開発」(2012年3月19日):http://www.nec.co.jp/press/ja/1203/1902.html
注4:「Draft IEEE802.11ac」対応で国内最小サイズのWi-Fiホームルータ「AtermWF800HP」など4機種8モデルを発売」(2013年6月11日):https://jpn.nec.com/press/201306/20130611_01.html
注5:NEC調べ
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