村田製作所(ムラタ)は、自動車のECU(電子制御ユニット)内で使われるプロセッサ向けに、世界最小かつ最薄(※1)(0.5mm×1.0mm×0.2mm/※2)のLW逆転低ESLチップ積層セラミックコンデンサ(※3)「LLC152D70G105ME01」を開発し、10月から量産を開始した。
近年、ADAS(先進運転支援システム)や自動運転の進展により、自動車1台に搭載されるプロセッサ数が増え、これらを正しく作動させるための積層セラミックコンデンサの搭載数も増加。これに伴い、自動車向け積層セラミックコンデンサに対して、員数削減による面積削減および信頼性向上を図るため、小型大容量化や低ESL化(※4)による高周波特性向上のニーズが高まっていると云う。
同製品は非常に薄型であることから、プロセッサパッケージ裏面のはんだボールの間にも直接実装が可能なため、プロセッサパッケージの小型化にも貢献。また、コンデンサをプロセッサパッケージの裏面に実装することによりコンデンサとプロセッサダイの距離が従来の側面配置より近くなるため、さらなる低インピーダンス化(※5)が可能となり、より高周波特性に優れた回路設計を組むことができると云う。
ムラタは、今後も市場のニーズに対応した製品の開発を進め、自動車の高性能化・高機能化に貢献するとしている。
※1:ムラタ調べ。2020年11月4日時点。
※2:T寸法規格値:0.2 ± 0.02 mm(上限値0.22 mm)。
※3:一般的な積層セラミックコンデンサとは違い、チップの短手方向両端に外部電極を形成し、電極間距離を短くし電極幅を広げることでESL(等価直列インダクタンス)を低化させるコンデンサ。
※4)ESL(Equivalent Series Inductance):等価直列インダクタンス。一般的に、ESLはコンデンサの性能を落とすひとつの要因となり、値が低いほど良い特性のコンデンサとされる。
※5)インピーダンス:交流回路における電気抵抗のこと。プロセッサの電源回路は、一般的にデカップリングコンデンサを用いてインピーダンスを小さくすることで、電源電圧の変動を抑え安定化させる。
[主な仕様]
– 製品名:LLC152D70G105ME01
– サイズ(L×W×T):0.5×1.0mm×0.2mm
T寸法規格値:0.2 ± 0.02 mm(上限値0.22 mm)
– 静電容量:1.0μF
– 静電容量許容差:±20%
– 使用温度範囲:-55°C~125°C
– 定格電圧:4Vdc
– その他 :AEC-Q200(※6)準拠
※6:Automobile Electronics Council(車載電子部品評議会)が定める受動部品(コンデンサ・インダクタ等)向けの業界標準。
■(村田製作所)LW逆転低ESLチップ積層セラミックコンデンサ「LLC152D70G105ME01」:https://www.murata.com/ja-jp/products/productdetail?partno=LLC152D70G105ME01%23