村田製作所は4月30日、2019年度決算を発表した。それによると、売上高は前期比2.6%減の1兆5340億円、営業利益は同5.1%減の2532億円、当期純利益は同11.6%減の1830億円だった。(経済ジャーナリスト 山田清志)
売上高については、5G基地局向けやカーエレクトロニクス向けで積層セラミックコンデンサが増加したものの、スマートフォン向けで樹脂多層基板やリチウムイオン二次電池、積層セラミックコンデンサが減少し、為替変動の影響もあって、減収となった。
村田製作所の村田恒夫会長兼社長
利益については、コストダウン活動による増益要因はあったものの、操業度低下や製品価格の値下がり、減価償却費の増加に加え、新型コロナウイルスの感染拡大による海外生産拠点の稼働停止などの減益要因により、営業利益は前年比で減益となった。しかし、営業利益率は16.5%と、前期比0.4ポイント悪化したものの、依然として高い利益率を確保している。
製品別の売上高は、コンデンサが先述した通り5G基地局向けやカーエレクトロニクス向けに売り上げを伸ばしたが、電子機器の生産調整や電子部品の在庫調整の影響を受けて幅広い用途で需要に弱さが見られ、前期比2.6%の減収。圧電製品はスマートフォン向けでな下がりの進行によって同6.7%の減収となった。
その他コンポーネントはコイルがスマートフォン向けやPC向けで増加したものの、リチウムイオン電池がスマートフォン向けや電子工具向けで振るわず、同7.4%の減収。モジュールは樹脂多層基板や近距離無線通信モジュールがハイエンドスマートフォン向けで減少したが、通信機器用モジュールがスマートフォン向けで大きく伸長したことで、同2.6%の増収となった。
また、用途別売上高では、通信とカーエレクトロニクス向けが増収だったが、AV、PC、家電向けなどが減収だった。カーエレクトロニクスについては、自動車の販売台数が減少したものの、搭載部品点数の増加によって、車載用積層セラミックコンデンサの売り上げが増加した。
2020年度の通期業績見通しは、売上高が新型コロナウイルスの影響による電子部品需要の落ち込みが見込まれることから、前期比6.8%(1040億円)減の1兆4300億円。そのうち、新型コロナウイルスの影響による減収分が1700億円あるという。
村田製作所のイメージロボット「ムラタセイサク君」と「チアリーダー部」
利益については、原価低減の取り組みを進めるものの、製品価格の値下がり等の減益要因を見込み、営業利益は前期比17.1%減の2100億円、当期純利益は18.0%減の1500億円と減益の見通しだ。