村田製作所は、正極材にオリビン型リン酸鉄リチウムを採用した独自のリチウムイオン二次電池“FORTELION(フォルテリオン)″を使用し、無人搬送車(AGV/※1)やロボットなど、高出力が必要な産業機器に向けた「FORTELION 24Vバッテリモジュール(All-in-one type)」を開発、その量産を4月から開始する。
近年、生産性の向上や人手不足の解消のため、サービスロボットや倉庫内での無人搬送機(AGV)などの利用が拡大。これらの機器には一般的に鉛蓄電池が使われることが多いが、充電に時間がかかる、電池の寿命が短いなどの課題があるため、充電時間が短く、電池寿命も長いリチウムイオン二次電池に置き換えるニーズが高まっていると云う。
そこで村田製作所では、これまでの鉛蓄電池と同サイズのバッテリモジュール「FORTELION 24Vバッテリモジュール(All-in-one type)」を開発。同モジュールは、リチウムイオン二次電池“FORTELION″の使用により、長寿命、急速充電に加え、高い安全性を実現していると云う。
[製品情報]
– 品名:FORTELION 24Vバッテリモジュール(All-in-one type)
– 品番:LIPY041WWPCSY6
– HP:https://www.murata.com/ja-jp/products/batteries/stbm?intcid1=com_prd_info_xxx_top_bm-all
<特長>
・鉛蓄電池とのサイズ互換性
サービスロボットや無人搬送機(AGV)、電動フォークリフトなどの多くは、24Vの倍数の電圧で電源システムを構成しているため、出力電圧が12Vの鉛蓄電池を2個直列につなぐことが一般的になっているが、このバッテリモジュールでは、24Vシステムをひとつのバッテリマネジメントユニット(BMU/※2)として構成し、従来の鉛蓄電池と同等サイズのため容易に交換が可能。
・防塵防水
IP54(※3)の防塵防水レベルを実現し、軽車両用のバッテリに求められる安全規格「UL2271(※4)」も取得していることから、屋外での安全な使用が可能。
・残容量の検知精度が高い
残容量をパーセンテージ(%)で表示。PCや携帯電話などの電子機器で培ったノウハウを活用し、独自の演算処理技術で高精度表示を実現。
<用途>
サービスロボット・セキュリティロボット、無人搬送車(AGV)、電動フォークリフトなど。
[リチウムイオン二次電池FORTELIONの特長]
・高い安全性
正極材にオリビン型リン酸鉄リチウムを採用したことで結晶構造が安定。そのため、大きな衝撃や圧力が加わった場合などでも発火しにくく、高負荷がかかった際も電池の機能を安定に発揮できる。
・長寿命
1万回以上の充放電サイクルを可能にし、500サイクルが一般的な鉛蓄電池や2,000~3,000サイクルが一般的なほかのリチウムイオン二次電池に比べて、長期間の利用が可能。
・急速充電に対応
約1時間で容量の90%まで充電できるため、搭載機器の使用待機時間に充電することが可能。
・優れた放電特性
電圧の影響を受けにくいため長時間の使用が可能で、ニッケル・カドミウムバッテリに見られるような、浅い放電の繰り返しによるメモリー効果(※5)も起きない。
※オリビン型リン酸鉄リチウムイオン二次電池 FORTELION:https://www.murata.com/ja-jp/products/batteries/cylindrical/fortelion
※1)無人搬送車(AGV: Automated guided vehicle):工場などの中で、無人で原材料や部品、完成品、商品などを搬送する車。
※2)バッテリマネジメントユニット(BMU:Battery Management Unit):バッテリモジュールの状態を監視・制御するシステム。セルの電圧や温度などを測定して、充放電時の過充電、過放電、各セル感の電圧バランスを維持する役割を担う。
※3)IP54:IEC(国際電気標準化会議)によって定められたIP規格(防水・防塵規格)のうち、防塵試験用粉塵(直径75μm未満)が入ったとしても所定の動作および安全性を損なわないように保護されていることを表すもの。
※4)UL2271:米国認証機関「Underwriters Laboratories Inc.(UL)」が策定する製品安全規格で、軽車両向けのバッテリに求められるもの。
※5)メモリー効果電池の容量を残した状態で充放電を繰り返す(継ぎ足し充電する)と、充電を繰り返した付近で顕著に起電力の低下が起こり、電池の実際の残量よりも使用時間が短くなる現象。