村田製作所のフィンランドの開発・生産子会社、Murata Electronics社が、2018年8月から建設を進めていた生産棟が完成した。
この新生産棟の完成により、自動運転をはじめとする車載分野や、重機の傾き検知などの産業分野、バイタルサインの計測といったヘルスケア分野におけるセンサの中長期的な需要増加に対応可能な体制を構築する。
村田製作所は、2012年にフィンランドのVTI Technologies(現Murata Electronics)を買収。
日本のムラタグループに属するMurata Electronics社は、ヴァンターに拠点を置き、主に自動車の安全上重要な用途、ならびに医療・産業用途の3D MEMS(微小電気機械システム)センサの開発と生産を担っており、フィンランドで約1,100人を雇用。
海外で唯一のMEMSセンサ製造拠点で、研究開発エリアもあり、同国で最大規模のクリーンルーム設備も設置されている。
今回の生産棟完成について、Murata Electronics社のManaging Directorの早田雄一郎氏は、次のように話している。
「先進運転支援システム(ADAS)や自動運転の市場は、今後大きく成長していきます。
MEMSセンサは、自動車の高機能化・電装化に伴い、より幅広い分野で優れた測定精度と安定した性能発揮が要求されます。
今回の新生産棟の建設により、ムラタグループがこれまで培ってきたプロセス技術とフィンランドで蓄積してきたMEMS技術とのシナジーを活かしたセンサを供給するとともに、今後の需要拡大に対応できる生産体制を強化してまいります」 。
また、村田製作所の代表取締役専務執行役員でモジュール事業本部本部長の中島規巨氏は、以下のように話している。
「自動車市場においてはCASEの進展に伴い、電子部品にますます高い性能が求められています。とくに自動運転のエリアは、車体の挙動検知や周辺環境把握など我々が有するMEMS技術の強みが活きる分野です。
今回の生産体制強化により、センサを通じた安心・安全なモビリティ社会の進展、またヘルスケア分野等の発展に貢献できることを大変うれしく思います」。
[新生産棟の概要]
– 規模:地上5階
– 建設地:Murata Electronics Oy 旧駐車場エリア
– 延床面積:16,000㎡
– 総投資額:50億円(建物のみ)
– 特徴:精密さが求められる性能テストにおいて、建物外部からの振動が伝わらない特殊な免震構造を採用
[Murata Electronicsの概要]
– 会社名:Murata Electronics Oy
– 所在地:Myllynkivenkuja 6, FI-01621 Vantaa, Finland
– 設立:1991年
– 資本金:54万7千ユーロ
– 代表者:早田 雄一郎
– 従業員数:約1,100人(2020年1月時点)