NEXT MOBILITY

MENU

2020年6月4日【エネルギー】

村田製と帝人フ、合弁会社を設立して世界初の繊維を発売

山田清志

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

村田製作所の村田恒夫会長兼社長(左)と帝人フロンティアの日光信二社長

 

村田製作所と帝人フロンティアは6月4日、共同で記者会見を行い、世界初の繊維を開発し、合弁会社ピエクレックスを4月1日付で設立して、この繊維の研究・開発および製造、販売を行うと発表した。力を加えると電気エネルギーを生み出し抗菌性能を発揮するという画期的なもので、無限の可能性があるそうだ。(経済ジャーナリスト・山田 清志)

 

左からピエクレックスの玉倉大次社長、村田製作所の村田恒夫会長兼社長、帝人フロンティアの日光信二社長、ピエクレックスの竹下皇二副社長

 

社名と同じ「PIECLEX(ピエクレックス)」と名づけられた繊維は、村田製作所が電子部品の開発・製造で培ってきた圧電技術と、帝人フロンティアが有する繊維技術を組み合わせることで誕生した。原料は植物由来のポリ乳酸(PLA)で、薬剤や有機溶剤を使用しないことから地球環境にも優しい。

 

ピエクレックスの繊維

 

「ピエクレックスの繊維はこれまでになかった機能を有しており、新たな顧客ニーズや製品開発に応えることのできる画期的な素材だと考えている。これまでムダにしてきた人間の動く力を有効活用する繊維として新たな商品の創出に貢献できる。例えば、人が歩く力で消臭機能を備えた靴や靴下が生まれたりと、活用次第で無限の可能性を秘めた未来の繊維だ」と村田製作所の村田恒夫会長兼社長は説明する。

 

抗菌のメカニズム

 

一方、帝人フロンティアの日光信二社長も「この新製品は今までにない、持続可能な社会において未知の可能性を切り拓いてくれるものだ」と力説し、何度使っても機能が落ちないという。細菌の増殖も抑えられることから、新型コロナウイルスなどウイルスへの効果も検証中とのことだ。

 

合弁会社のピエクレックスは資本金が1億円で、出資比率は村田製作所が51%、帝人フロンティアが49%。本社は滋賀県にある村田製作所の野洲事業所内に置き、社長には村田製作所技術・事業開発本部シニアマネージャーの玉倉大次氏が就任し、副社長には帝人フロンティア技術・生産本部技術開発部長の竹下皇二氏が就任する。合弁会社はファブレスで、研究開発やブランで展開に特化し、実際の製造などについては帝人フロンティアの工場が担当する。

 

「当面は国内アパレル市場に向け拡販活動を開始し、将来的には海外アパレルへ拡大するとともに、産業資材やヘルスケア分野にも拡販範囲を広げることで、2025年度には売上高100億円を目指したい」とピエクレックスの玉倉社長は話す。

 

まずはスポーツウェアやインナーウエアなどアパレル向けの素材として提供されそうだ。2020年度については、顧客へのサンプル販売がメインで、年度末には量産化を進める方向だ。価格については、最初のうちは一般の繊維よりも高くなるが、量産化が進んでいけば一般の繊維と変わらなくなるそうだ。

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。