モービルアイとヴァレオは9月4日、独・ミュンヘンで開催中のIAAモビリティ2023に於いて、クラス最高水準のイメージング・レーダーを提供するべく新たなパートナーシップを結んだことを発表した。( 坂上 賢治 )
イメージング・レーダーは、自動運転用のセンシング システムの重要機能として、高速道路や市街地での自動運転機能を実現するための鍵となる。従って同提携により両社は、有望な新技術を世界中の自動車メーカーへ向けて素早く提供できるようになるとしている。
今回、モービルアイが開発したイメージング・レーダーは、Massive MIMO (複数入力、複数出力) アンテナ設計、社内開発のハイエンド無線周波数設計、高忠実度サンプリングなどの先進的なアーキテクチャを使用しており、これらすべてが正確な物体検出とより広範なダイナミックレンジを可能にするという。
より具体的には、プロセッサ効率を最大化する統合システムオンチップ設計と、レーダーデータを解釈するための世界最先端のアルゴリズムにより、最大300メートル以上離れた周囲の詳細な4次元画像を提供する。
このレーダーは、中距離で140度の視野角、近距離では170度の視野角を備え、混雑した都市部の道路に於いて他のセンサーでは見逃す恐れのある歩行者や車両、障害物をより正確に検出できるとしている。
こうした製品に係る技術連携についてモービルアイで事業開発・戦略担当エグゼクティブバイスプレジデントを務めるニムロッド・ネフシュタン氏は、「モービルアイとヴァレオのイメージングレーダーに於ける提携は、自動車の安全性と性能を大きく加速するステップとなります。
この提携により自動車メーカーは、ヴァレオの製品を製造する能力、製品カスタマイズ技術、完成品テストなどの手厚いサポートを受ける一方で、モービルアイの最新鋭技術にアクセスできるようになります。
イメージングレーダーを、自動車メーカー各社に提供するための私たちの協力は、この業界、ひいては世界中のドライバーに大きな利益をもたらすことになるでしょう」と語った。
対してヴァレオのコンフォート&ドライビングアシスタンスシステム・ビジネスグループのプレジデントを務めるマーク・ヴレコー氏は、「このパートナーシップは、ヴァレオとモービルアイとの連携を一層強化します。将来の自動運転車に不可欠なイメージングレーダー技術に関して、共に協力することを私たちは誇りに思います。
これはヴァレオのADAS技術に係る革新的なテクノロジーを量産する能力を示しています。このコラボレーションは、よりスマートでより安全なモビリティを手頃な価格で提供するというヴァレオの取り組みに貢献します 」と述べた。
またモービルアイとヴァレオは共同声明で、「2015 年以来、両社のパートナーシップは世界中で 1,500 万台以上のスマートフロントカメラを納入してきました。
そうしたなかで今日、世界の自動車メーカー各車が自動運転機能の運用設計領域(ODD)の拡大を目指す中、モービルアイは自社のイメージングレーダーに業界から高い関心が寄せられていることを認識しています。
ヴァレオもまた最適なパフォーマンスを実現するイメージングレーダーに対して市場で高いニーズがあることを認知していました。
先進運転支援システム (ADAS) の世界的リーダーであるヴァレオは、2006年からレーダー技術の開発と量産を行っています。
ヴァレオは、モービルアイの画期的なイメージングレーダー技術と、それに対応するモービルアイのレーダー・チップセットに組み込まれたソフトウェアとアルゴリズムを、 ヴァレオの自動車用ソフトウェアおよびハードウェア レーダー ソリューションに統合することにより、新しいイメージングレーダー製品のシステム設計をリードします。
またヴァレオは、機能安全、サイバーセキュリティ、車両ネットワークとの高速通信プロトコル、電磁堅牢性、全体的なシステム性能と車両寿命中の耐久性の検証など、自動車関連企業からの最新の最も厳しいソフトウェアとハードウェア要件を満たして適応していきます。
これにより最新の自動車技術を量産する専門知識と世界に展開する生産拠点を活用して、ヴァレオはイメージング・レーダー・ソリューションを製造します。
この新しいパートナーシップにより、モービルアイとヴァレオは、フロントカメラやその他の運転支援ソリューションに関する協力関係を拡大します」と述べている。