国土交通省は2月22日、エンジンの型式指定申請で不正を働いた豊田自動織機に対して、以下の対応を行うと発表した。
(1)立入検査の結果の公表。
(2)産業機械用の現行エンジン3機種の型式指定の取消し手続きの開始。
(3)豊田自動織機に対する是正命令の発出。
同省では、1月30日から豊田自動織機への立入検査を行い、事実関係の確認・精査を行ってきたが、今回の対応は、その結果を踏まえたものとなる。また今後は、型式指定申請に於ける相次ぐ不正事案に対応するため、有識者等からなる検討会を設置するとしている。
1.豊田自動織機の不正事案
(1)立入検査の結果について
1月29日に豊田自動織機から受けた型式指定申請に於ける不正行為の報告を踏まえ、国交省は、不正行為の事実関係等の確認のため、同月30日から2月13日の間、同社および同社から自動車用エンジンの供給を受けているトヨタ自動車、日野自動車に対して立入検査を実施。
その結果、豊田自動織機から報告があった、産業機械用の現行エンジンの全機種(5機種)と自動車用の現行エンジン3機種で不正行為の事実を確認した。なお、新たな不正行為は発見されなかった。また、トヨタと日野による不正行為への関与は認められなかった。
(2)産業機械用の現行エンジン3機種の型式指定の取消し手続きの開始について
特に悪質な不正行為(※1)が行われたと認められた以下の3機種(※2)(その内の建設機械用エンジン1機種は基準不適合を確認)について、型式指定を取り消すこととし、関係法令の規定に基づく手続きを開始した。
・フォークリフト等用エンジン2機種(型式:4Y、1FS)
・建設機械用エンジン1機種(型式:1KD)
※1:試験用エンジン制御ソフトに不正な書換えを行い、申請に係る装置と異なる制御方式の装置を用いて試験を実施。
※2:産業機械用の現行エンジンの内残り2機種については、令和5(2023)年4月26日に型式指定を取消し済み。
(3)豊田自動織機に対する是正命令の発出について
豊田自動織機に対し、二度とこうした不正行為を起こさない体制への抜本的な改革を促すべく、道路運送車両法の規定に基づき、「自動車の装置の型式指定申請に係る違反の是正命令 」を発出。また、1カ月以内に再発防止策を報告し、その後四半期毎に再発防止策の実施状況を報告するよう求めた。
2.今後の対応
(1)基準適合との報告があった産業機械用の現行エンジン2機種および自動車用の現行エンジン3機種について、国が基準適合性等の確認を速やかに行い、その結果を順次公表する。
(2)他の自動車メーカー等に対しても、型式指定申請に於ける不正行為の有無等について調査し、4月末までに報告するよう指示。その結果を踏まえて必要な対応を行う。
(3)ダイハツ工業と豊田自動織機に於ける再発防止策等を踏まえ、有識者等からなる検討会を設置し、近年の不正事案に対応するための型式指定に係る要件の強化等について検討を行う。