三菱重工は2月2日、グループの三菱造船が、NEDOの「CCUS研究開発・実証関連事業/苫小牧におけるCCUS大規模実証試験/CO2輸送に関する実証試験」で活用する液化CO2(LCO2)輸送の実証試験船の建造契約を、内・外航船の船舶管理などを手掛ける山友汽船との間で締結したと発表した。
三菱重工下関造船所江浦工場における建造を開始し、完成および引渡しは2023年度後半の予定だという。
上記NEDO事業の業務受託者の1者である一般財団法人エンジニアリング協会が、外注先である山友汽船から当船を傭船し、同事業で運用。川崎汽船、日本ガスライン及びお茶の水女子大学は同事業における同協会の再委託先として、当船が輸送するLCO2の圧力制御・安定性の研究開発や実証試験方案の作成業務等を受託し、CO2を安全かつ低コストで輸送する技術の開発と実証等を行う。
食品用途で用いられるLCO2を輸送する船舶は、これまで欧州、日本で建造および運用されてきた実績がある一方、CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)を目的としたLCO2輸送船の建造は世界初となる見込み。三菱造船は、これまで液化ガス輸送船(LPG・液化石油ガス輸送船、LNG・液化天然ガス輸送船)建造で培った知見やガスハンドリング技術などを活用し、当船に搭載される舶用タンクシステムを含む本船の設計から建造までを一貫して担う。
CO2を回収して転換利用や貯留を行うCCUSは、カーボンニュートラル社会を実現するための有効な手段として注目されている。CO2の排出地と貯留地・活用地が離れていることが多いことから、CO2を安全かつ低コストで輸送する手段としてLCO2船は将来的な需要の拡大が期待されている。世界初のCCUSを目的としたLCO2船の建造の経験を生かし、同社グループが戦略的に取り組むエナジートランジションの事業強化につなげるとともに、従来より取り組んできたCCUSバリューチェーン構築に必要なLCO2船に関する各種技術の開発および提供に引き続き尽力し、CO2エコシステムの構築に貢献するとしている。