MFTEのトラマガル工場の全景
三菱ふそうトラック・バス( MFTBC )は3月19日、100%子会社の三菱ふそうトラックヨーロッパ( MFTE/Mitsubishi Fuso Truck Europe S.A.、本社:ポルトガル・トラマガル、社長:アーネ・バーデン )のトラマガル工場が今年、設立60周年を迎えたことを明らかにした。
同トラマガル工場は、ポルトガル・トラマガルの周辺地域で最大級の雇用主であり、2023年には、おおよそ11,800台のトラックを生産・販売し、同工場で過去最多を記録。
同工場は、拠点の稼働開始から現在に至る60年間に、26万台を超える車両を製造した。例えば具体的にはFUSOの小型トラック「キャンター」は1980年より同工場で生産されている。また現在、MFTEからは欧州32の市場へ向けて車両を出荷している。
そんなトラマガル工場は、ポルトガル企業のDuarte Ferreira社と、フランスのトラックメーカーだったBerliet社の合弁企業として1964年に生まれ、設立当初は、主にノックダウン生産を行ってきた。更に後の1980年からFUSOブランドもそこに加わった。
欧州向けFUSO車を40年以上製造。サステナブルな生産活動のロールモデルに
より具体的には1980年以降、ポルトガル市場向けのFUSOの小型トラック「キャンター」、FUSOの中型トラック、三菱自動車のピックアップトラック「L 200」、バン「L 300」の他、SUVの「パジェロ」も生産。1990年に同工場は、三菱自動車ポルトガル社に買収され、1996年には三菱自動車工業が同工場を引き継ぎ、FUSO「キャンター」の専業拠点となった。
そして2004年にダイムラー社(当時)がMFTBCの筆頭株主となったことで同拠点はダイムラーグループ傘下となっている。2017年からは欧州市場向けにFUSOの電気小型トラック「eCanter」の生産を開始。現在も「eCanter」新型モデルの生産を担う拠点として欧州に貢献している。
さてトラマガル工場は2022年に、工場構内の太陽光発電設備などによって、生産活動のカーボンニュートラル化を達成した。同工場は環境対策を継続的に見直すことで、二酸化炭素(CO2)の削減量が工場から排出されるCO2を上回る「クライメートポジティブ」な工場となることを目指している。
また、同拠点のもう一つのサステナビリティへの取り組みとして、水使用量の削減がある。同工場の新しい水処理設備は、生産サイクルで排出される水の60%以上を再利用できる。
地域最大級の雇用主として操業。何世代に亘って「選ばれる会社」に
先の通り創業60年の歴史を持つトラマガル工場では、一家が何世代にも亘って勤務することも珍しいことではない。3世代、4世代に亘ってトラマガル工場に勤務する従業員は数多い。
実際、トラマガル工場で購買部長を務めるパウロ・シマン氏は、祖父と父が同工場で働いており、息子のミゲルも設備保全の任にあたっている。そんなパウロ・シマン氏は、「沢山の変化を目の当たりにしてきましたが、結局、私たちはここでトラックを作っています。
その理由は、MFTEが業界の変化に合わせた新しいスキルを従業員に提供してきたからに他なりません。2023年には、MFTEはポルトガルのトマール工科大学と、MFTEの従業員にトレーニングを提供するパートナーシップを結びました。
この新しいトレーニングプログラムは、周辺地域の若い技術者たちに、eモビリティや生産技術の知識を磨くことによって、キャリアアップの機会を提供することを目指しています」と話している。ちなみに、同プログラムは2024年後半の本格開始を予定している。