三菱電機は1月23日、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)用モーター等のインバーター駆動に用いるxEV用パワー半導体モジュールとして、小型化を実現し、SiC-MOSFET(※1)やRC-IGBT(Si)(※2)素子を搭載した「J3-T-PM」を開発。J3-T-PMを組み合わせることで豊富なラインアップを実現し、多様なxEV用インバーター設計に対応する「J3シリーズ」計6製品のサンプルを3月25日から順次提供すると発表した。
なお、同製品には新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託研究の成果の一部を活用。「第38回ネプコンジャパン エレクトロニクス 開発・実装展」(1月24日~26日、於:東京ビッグサイト)をはじめ、北米、欧州、中国等で開催される展示会へ出展される予定だと云う。
近年、脱炭素社会の実現に貢献するキーデバイスとして、電力を効率よく変換するパワー半導体の需要が拡大・多様化する中、電力損失の大幅な低減が可能なSiCパワー半導体への期待が高まっており、特に自動車分野では、自動車の電動化を背景に、モーター駆動に於けるインバーターなどの電力変換機器に使用されるパワー半導体モジュールの需要が拡大。
xEV用パワー半導体モジュールには、自動車の航続距離の延伸に加え、バッテリーやインバーターの小型化を可能にする小型で高出力・高効率な製品が求められているが、安全基準が高い自動車のモーター駆動に用いられるパワー半導体には、一般産業用途以上の信頼性が求められると云う。
三菱電機では、業界に先駆けて1997年にxEV用パワー半導体モジュールの量産を開始。その後、ヒートサイクル耐性等の信頼性の向上やインバーター小型化など、これまでにも自動車の電動化に於いて課題を解決するxEV用パワーモジュールを多数提供してきたが、今回、自動車市場で多くの採用実績がある「T-PM(※3)」の最新世代モデルとして、小型化したxEV用SiC/Siパワー半導体モジュール「J3-T-PM」を開発。同製品を組合せたラインアップ「J3シリーズ」のサンプル提供を開始する。
J3シリーズでは、新たにSiC-MOSFETを搭載した製品や、RC-IGBT(Si)を同一パッケージに搭載した製品をラインアップすることで、xEV用インバーターの小型化に貢献すると共に、豊富なラインアップを取り揃えることで、幅広い電気容量帯のインバーター設計にも対応すると云う。
三菱電機は、同製品を通じて、EVやPHEVの航続距離の延伸や電費改善に貢献することで、さらなる自動車の電動化の普及に貢献していきたいとしている。
※1)Si:Silicon Carbide(炭化ケイ素)/MOSFET:Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor(金属酸化膜半導体製の電界効果トランジスタ)。
※2)RC-IGBT:Reverse Conducting IGBT(IGBTとダイオードを1チップ化したもの)。
※3)T-PM:Transfer molded Power Module(トランスファーモールド型パワー半導体モジュール)。