三菱電機は、空孔がほとんどない高品質な三次元構造を高速で造形するレーザーワイヤーDED(※1)方式を採用した金属三次元造形装置(金属3Dプリンタ)に、レーザー技術、数値制御(CNC)技術や、CAM(※2)技術を連携させ、高精度な造形を実現する点造形技術を開発した。
三菱電機は、この開発品により、航空機や自動車の部品製造におけるニアネットシェイプ(※3)化や肉盛補修など、幅広い用途で生産性が向上。今後、操作性をさらに向上させ、2020年度の製品化を目指すとしている。
なお、開発成果を搭載した金属3Dプリンタは、11月1日から東京ビッグサイト開催の「第29回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2018)」に参考出品される。
※1)DED(Directed Energy Deposition):指向性エネルギー堆積法。集束された熱エネルギーを利用して材料を溶解・積層する造形プロセス。
※2)CAM(Computer Aided Manufacturing):コンピューター支援製造。入力された三次元形状データを基に、加工用プログラムの作成などの生産準備全般をコンピューター上で行う技術。
※3:最終形状に近い状態に仕上げること。
[開発品の特長]
○レーザーワイヤーDED方式で高品質な三次元構造の高速造形を実現
・レーザー照射部分に金属ワイヤーを直接供給して造形するレーザーワイヤーDED方式により、造形物内部に空孔がほとんどない高品質な三次元構造の高速造形を実現。
・中空形状や上部がひさし状に張り出している形状など、さまざまな三次元形状の造形が可能。
・他の加工法で製造した部品へ付加する造形も可能なため、肉盛補修などにも有効。
・入手が容易で現在も広く使用されている安価なレーザー溶接用ワイヤーの使用が可能。
○独自の点造形技術により形状精度を向上
・パルス状のレーザー照射、金属ワイヤーやシールドガスの供給と造形位置などを同期制御して点状の造形を繰り返す独自の点造形技術を開発。従来の連続造形技術に比べ形状精度が60%向上(同社比)。
・高温部分が点状の狭い範囲に限定されるため、造形時に課題となる表面の酸化を20%以上抑制(同社比)。
・点造形方式に対応した専用CAMにより、複雑な形状の造形も可能。
【加工中の様子】
【造形精度比較】
※真円度:円形形体を二つの同心の幾何学的円で挟んだとき、同心二円の間隔が最小となる場合の、二円の半径の差
[問い合わせ先]
三菱電機株式会社 先端技術総合研究所
FAX: (06)6497-7289
問い合わせフォーム:http://www.mitsubishielectric.co.jp/corporate/randd/inquiry/index_at.html