三菱電機は、水平・垂直の2軸で走査する電磁駆動式MEMS(※1)ミラー搭載の小型で広い水平視野角を持つ「MEMS式車載LiDAR(Light Detection and Ranging/ライダー)(※2)」を開発した。
LiDARは、対象物に光を照射して反射光を検出、距離の測定や先行車両、歩行者などの形状を3次元画像に変える、自動運転に不可欠なセンサー。
従来、モーターで回転するミラーにレーザーを照射し、周囲の状況を計測する「機械式」が主流であったが、モーター駆動部の部品数が多くなることから小型化が難しく、高コスト、またモーターを常に駆動させるため、温湿度や振動などに対する耐久性などが課題とされていた。
今回三菱電機が開発した「MEMS式車載LiDAR」は、水平・垂直の2軸で走査する電磁駆動式MEMSミラーを搭載、広い水平視野角下での高精細な3次元画像を取得する。
三菱電機は、今後更なる小型化や垂直視野角の拡大を進め、2025年以降の実用化を目指すとしている。
※1)MEMS(Micro Electro Mechanical Systems):微小電気機械システム。
[開発の特長]
1.独自構造と2軸走査の電磁駆動で広い振れ角を持つ軽量ミラー
・車載搭載向けに水平・垂直の2軸で走査する電磁駆動式MEMSミラーを開発。
・三菱電機独自のミラー構造採用により面ひずみを抑制し、業界最大級(7mm×5mm)の軽量ミラーでの広い振れ角(水平:±15°、垂直:±3.4°)を実現。
2.主要部品の最適配置により小型化。広範囲の3次元画像取得が可能
・開発した2軸電磁駆動式MEMSミラーと、複数のレーザー光源の高密度実装と最適配置により、広い水平視野角(120°)を実現することで、先行車両や歩行者などの高精細な3次元画像を広範囲に取得することが可能(図2)。
・信号処理回路基板と光学系部品の最適配置により、ライダー本体を900cc(108mm×105mm×96mm)に小型化。