三菱ケミカルグループ(MCG/本社:東京都千代田区、社長:ジョンマーク・ギルソン)は10月18日、イタリアの炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製・自動車部材企業のC.P.C. SRL(CPC社/本社:イタリア・モデナ市)の全株式を取得する。
今回、対象となったCPC社は、欧州地域に於いて35年間に亘りエンジニアリングから車体部材の供給までの垂直統合体制を敷き、自らを発展させてきたヨーロッパ最大の自動車向け炭素繊維複合材料メーカーだ。
また一方で自動車市場を巡る近年の素材を取り巻く動きでは、燃費規制やCO2排出量の削減強化を背景に、素材選択を立ち位置とした軽量化が大きな課題として浮上し久しく、同分野に大きく貢献するCFRP素材は世界から注目を集めている。
そうしたなかに於いてCPC社は、三菱ケミカルグループに於いてCFRP素材の部材設計から生産までのバリューチェーン全域を通じて大きな役割を担っている。特に三菱ケミカルが先の2017年に初出資を行って以来、炭素繊維複合材料の成形、金型の設計・製造、複合材料の塗装、部品組立などでCPC社は、なくてはならない役割を担い続けてきた。
そんな実績を経た今回の全株式取得で、両社は垂直統合したサプライチェーンの強化・拡大を図り、炭素繊維事業の長期的な成長を加速させていく構え。なお株式取得の手続き自体は、規制当局の承認を経て2023年末に完了する予定としている。
この全株式の買収について三菱ケミカルグループ・スペシャリティマテリアルズビジネスグループEMEAのラルフ・マイヤー本部長は、「この度の全株式取得は、炭素繊維市場に完全なソリューションを提供するという当社グループのコミットメントを再確認する極めて重要な契機です。
これまでもCPC社とは素晴らしい協力関係を築いてきましたが、次のステップとしてこの全株式取得は自然な流れであり、当社グループの製品やサービスを次のレベルに引き上げることができるものです」と述べている。
対してCPC社でCEO・大株主のフランコ・イオリオ氏は、「三菱ケミカルグループとCPCはシームレスな体制移行を確実に実現するために全力を尽くします。なお両社の10年に亘るパートナーシップは、最終的に全株式取得という形に結実しました。
これは顧客に可能な限り最高のソリューションを提供し、完全に垂直統合したサプライチェーンシステムを通じて業界のイノベーションを推進するために団結して取り組んでいくことを表しています」と語っている。