三菱ケミカルは6月17日、軽量性や剛性と高耐熱性を両立した炭素繊維複合材料(以下、CFRP)を開発したと発表した。
軽さと強度を兼ね備えるCFRPは、軽量化要求が高まる航空機や自動車等のモビリティ用途、また製造工程の高度化・複雑化に加えて効率化への対応を求められる産業機械用途等での利用が、今後益々進むと見込まれている。しかし一方で、汎用性が高いエポキシ樹脂をベースにしたCFRPは、耐熱性に課題があり、多様化する顧客ニーズを十分に満足できない場面もあったと云う。
今回、三菱ケミカルは、ベース樹脂としてフェノール樹脂(※)を使用することで、300℃でも物性が低下しない高い耐熱性有するCFRPを開発。CFRPの特長である高熱伝導性、高剛性、軽量性に高耐熱性を付与することで、これまで解決が難しかった課題へのソリューション提供を可能とした。
なお、開発品は、既に一部の顧客での採用も決定。三菱ケミカルでは現在、耐熱部材等での更なる採用に向けて取り組んでいると云う。
<物性比較表>
三菱ケミカルは、後も引き続き、多様化・高度化する顧客の要望に応えする複数の新製品の開発を進め、最適なソリューションをタイムリーに提供することで、積極的に事業を展開していくとしている。
※フェノール樹脂(フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、ベークライト、石炭酸樹脂)は、フェノールとホルムアルデヒドを原料とした熱硬化性樹脂の一つで、世界で初めて植物以外の原料より、人工的に合成されたプラスチック。電気的、機械的特性が良好で、合成樹脂の中でも特に耐熱性、難燃性に優れるという特徴を持つ。耐油、耐薬品性も高いが、アルカリに弱い。また、これらの性能の割に比較的安価である(Wikipediaより)。
■三菱ケミカル:https://www.m-chemical.co.jp/