練習走行ではバッテリー火災も発生
岸本氏によると、レース中に最も苦労した事のひとつがバッテリー。
「韋駄天X」には、LiB(リチウムイオンバッテリー)を搭載するが、それがプラクティス(練習走行)中に過放電を起こしマシンが停止してしまったのだ。
その日の夜は徹夜で修理を敢行。バッテリーをすべてチェックし、過放電により劣化したものを新品と交換して翌日のプラクティスに望む。
だが、1回目の走行で今度はバッテリーから煙が発生! ライダーがコース脇にマシンを止める。
どうも、交換していなかった他のバッテリーも過放電を起こし、バッテリーを構成するセルの1つが内部短絡を起こしたことが原因のようだ。
近くにいた消防士がマシンに駆け寄り、バッテリーを取り外すそうとラチェットを端子へ……その瞬間、端子のプラスとマイナスが接触し、火花が出てLiBから出る煙に含まれる水素ガスへ引火! なんと煙を吐いていたバッテリーが発火してしまったのだ。
岸本氏の話では
「ガス自体の空気中の「発火点」は527℃ですが、水素ガスは火花など火気で着火しやすい」
のだそうだ。
ちなみに、今回のレースでは、他のチームでもパドックでバッテリー火災が起こり、マシンが全焼してしまう事件も発生している。
こういったLiB関連事故が相次いだため、主催者側は、例年以上に電動バイクの走行前車検を厳しくした他、走行後はバッテリーが冷える一定時間の間、安全な場所にマシンを保管する処置を取ったと云う。