日本ミシュランタイヤ(ポール・ペリニオ社長、東京都新宿区)は12月10日、新開発の低燃費タイヤ「ミシュラン・エナジー・セイバー・フォー(ENERGY SAVER 4)」を2020年2月1日から発売すると発表した。雨天時の安心感が得られるウェットブレーキング性能と快適性をともに向上させた低燃費タイヤで、ペリニオ社長は東京都内で開いた新製品発表会で同商品の投入により「日本のエンドユーザーのタイヤ満足度ナンバーワンを目指す」と強調した。(佃モビリティ総研・松下 次男)
日本ミシュランタイヤ代表取締役社長のポール・ぺリニオ氏
ウェットブレーキ性能と快適性を両立させた新低燃費タイヤ「ミシュラン・エナジー・セイバー・フォー」
低燃費タイヤは今や、我が国の乗用車タイヤ市場で最も規模の大きいセグメント。これに対し、日本ミシュランは1993年に低燃費タイヤの「グリーンタイヤ」を発売して以降、性能を順次、進化させてきた。2013年には現行の低燃費タイヤ「エナジー・セイバー・プラス」を投入。今回の新開発低燃費タイヤはこれの後継製品となるものだ。
エナジー・セイバー・フォーは日本で設計、開発した。「ミシュランは外国のメーカーだから、外車にしか会わないのでは」「ミシュランのタイヤは軽い車(軽自動車)には合わないでしょう」という声を聞くことがあるが、これは完全な誤解という。
PC/LTタイヤ事業部でブランド戦略を担う黒谷繁希マネージャー
同社によると、ミシュランの開発拠点は本体のフランスのほか、米国、日本の3か所あり、うちフランスと日本は基礎研究所を併設する。それぞれの開発拠点は地域特性に合わせて、タイヤの開発を進めており、日本はアジア向けを担当。エナジー・セイバー・フォーは日本、香港、台湾に投入する計画だ。
新開発のエナジー・セイバー・フォーは軽自動車サイズの5サイズを含む23サイズをラインナップ。「新縦溝構造」「新採用アンダートレッドラバー」「新配合コンパウンド」などにより、安全性、経済性、居住性を高い次元で両立し、快適なドライビング環境を提供する。
ENERGY SAVER4の開発と設計を担った製品開発本部新製品開発部の守部浩平シニアエンジニア
アンダートレッドラバーを新採用して高い静粛性と共に雨の日の安心感と快適性をも両立させたという。
雨の日の安心感と快適性を両立させた新タイヤは日本で設計・開発し日本ユーザーの満足度No1を目指す
従来品に比べ、雨天時などの濡れた路面でのブレーキ性能が5・5%向上、短い距離で止まれるほか、パターンノイズ、ロードノイズのそれぞれを5%、9%低減した。ペリニオ社長は「雨の日の安心感と快適性を両立した低燃費タイヤだ」と述べるとともに、同社発行の飲食店・レストランのセレクションリストであるミシュランガイドをもじって「三つ星の低燃費タイヤ」と自信を示した。
ミシュランは日本で環境対応タイヤ投入のパイオニアであり、1993年の投入後、2001年からエナジーシリーズを展開する。こうした低燃費タイヤが一般に普及するきっかけとなったのが、2010年のタイヤラベリング制度のスタートであり、今や乗用車タイヤ市場の約3分の1を占める。半面で、低燃費タイヤだからと言って他の性能を犠牲にするのではなく、ウエットグリップ性能や静粛性を求めるニーズは大きい。
そこで新開発したのが今回のエナジー・セイバー・フォー。それだけに新タイヤは同社にとっても「インパクトの大きい新商品」であり、低燃費タイヤ市場の伸びを「上回る」販売を目指す。販売価格はオープン。