日本ミシュランタイヤの須藤元社長は12月4日、東京都内で記者会見し、次世代に向けて、新たなタイヤを開発、製品化したことを明らかにした。(佃モビリティ総研・松下次男)
新開発タイヤは、新しいテクノロジーを取り入れることで、長寿命化など信頼性をより向上するとともに、環境負荷低減に寄与できるものという。須藤社長は「長く続く安心感、そしてサスティナブルなタイヤ」と強調した。
ミシュランタイヤが次世代をにらんで新たなタイヤを開発したのは、自動車産業を取り巻く環境が大きく変化していることが背景にある。より快適に、より多くの車載テクノロジーが搭載されるなど新たなクルマの使い方が求められていることや異常気象が地球規模で見舞われるなど、気候変動への対応が急務となっている。
こうした動きは、当然、車両へも対応が迫られており、高度なテクノロジーを搭載するなど、クルマの大型化、車両重量アップへとつながっている。須藤社長はこのように自動車産業が変化する中で、タイヤ市場も「同様に変化している」と指摘する。
その主要な構造的な傾向として掲げるのが「益々重くなる車両」「予測がしにくい天候」「電自動車(EV)のブーム」「環境への影響を削減する必要」の4要素だ。そこで、例えば環境対応などではライフサイクルアセスメント(LCA)を使ってタイヤの環境負荷を評価し、次世代タイヤの開発へとつなげる。
評価は、「設計&原材料」「製造」「物流」「使用(タイヤの使用)」「廃棄物や資源の収集と価値化」のサイクルで回し、気候変動、光化学オゾン生成、淡水の富栄養化など基準の16項目の影響評価からタイヤの環境負荷を計算する。
須藤社長は環境負荷を減らすためにはすべてのライフサイクルの段階おいて一緒に対処する必要があるとしたうえで、「タイヤの環境負荷の80%以上が車両に装着されて使用されるときに発生することが分かっている」と話す。
また、タイヤの環境負荷の80%はクルマを運転している間に発生するが、これは「エンジン車にとどまらず、バッテリーEVでも変わらない同じ」と述べ、EV化が進んでも使用時の環境負荷低減の取り組みの重要性を訴えた。
このため、CO2(二酸化炭素)や粉じんの削減という環境負荷を低減するためには「より長く、安心して使用できる」というのがタイヤにとって重要と強調。
それも長寿命化はEVだけに限定するのではなく、すべての車両に対応するようデザインされなければならないというのがミシュランの考えとした。
そのうえで、タイヤは「使用目的に応じて選ぶもの」とし、こうした考えを踏まえてミシュランは「新たなタイヤを製品化した」と須藤社長は表明した。
新たに製品化するタイヤには、新テクノロジーも積極的に取り入れており、一例としてガスよりも6~8倍エネルギー効率が優れた加硫プレスの電化などを採用している。
新たに製品化されたタイヤは近く市場投入される見通しだ。