村田製作所は12月13日、フランスのミシュラン社(Michelin)とタイヤ内蔵用のRFIDモジュールを共同開発したと発表した。開発品は、東京ビッグサイトで来年1月19日~21日に開催される「第14回[国際]カーエレクトロニクス技術展」の村田製作所ブース(CAR1-0473)に出展される。
近年、タイヤ市場に於いては、安全性の保証や、製造時の物流効率化、個々のタイヤのライフサイクルの管理等を目的に、RFIDタグの導入を検討する動きが活発化している。
ミシュランではこれまで、タイヤ内蔵型のRFIDタグを独自開発してきたが、これらの製品管理を幅広い市場向けに展開するため、従来のRFIDタグよりもさらに低コストかつ通信の信頼性が高い製品の開発を目指し、村田製作所との協業を開始。
今回、村田製作所が通信市場で培った高周波技術や小型化技術、自動車市場に於ける技術的知見などを活用し、タイヤ内蔵時でも安定した通信性能を発揮し、タイヤのライフサイクルに匹敵する耐久性を低コストで実現した製品を共同開発した。
両社は、このRFIDモジュールについて、タイヤメーカーの工場・倉庫内のみならず、物流・アフターマーケットでのメンテナンスや品質トレーサビリティでの活用が期待できるとしている。
<主な特長>
・小型サイズ:タイヤ内蔵時に省スペースで埋め込みが出来る小型サイズのモジュール(1×1×6mm)。
・堅牢性:走行時の衝撃や埋め込み時の負荷にも耐えられる堅牢性。
・良好な通信性能:独自のアンテナ設計技術によるタイヤ内蔵時の良好な通信性能。
ミシュランでは先ず、タイヤ内蔵型RFIDタグの商用車タイヤへの内蔵を進め、2024年頃を目途に乗用車への拡大を予定。また現在、製品を活用したRFIDシステムを業界標準とするためのプロモーション活動にも取り組んでいる。
村田製作所は、製品提供の他、自社のソリューション「id-Bridge(RFIDミドルウェア)」に於いても、ISO(※)で規定されるタイヤ内蔵用RFIDタグへのデータ書き込みや読取試験にも対応し、業界のタイヤ管理効率化に貢献していくとしている。
※スイスのジュネーヴに本部を置く国際標準機構が定める国際規格。タイヤ内蔵RFIDタグに関連するものとしてタグのデータ書き込み方式を規定するISO20910や読取評価の方法を規定するISO20912などがある。
[各社コメント]
ミシュラン社 RFID program leaderのJerôme Barrand(ジェローム・バランド)氏
「RFIDはタイヤ管理の効率化と業務の最適化達成に重要なだけではなく、各タイヤから得られる関連データにより顧客体験の向上にもつながります。タイヤ内蔵型RFIDタグは個々のタイヤが生産してから廃棄されるまでを管理できる唯一の手段です。村田製作所との共同開発により、性能やコスト面が改善されたことで、さらに大きな市場に向けて展開することができるようになりました。すでに400万個以上ものミシュラン製タイヤに内蔵されている本製品は、今後他のタイヤメーカーでも利用できるようになるため、市場全体での採用がさらに加速するでしょう」。
村田製作所 RFID事業推進部 部長の安藤正道氏
「サプライチェーン管理が困難なものでも、RFIDソリューションを活用することでより効率的に行えるようになります。村田製作所は今後も革新的なソリューションの実現に向けた継続的な技術開発を行い、ミシュランとともにライフサイクルを通したタイヤ管理の実現、顧客体験の向上に向けて貢献していきます」。