マツダは6月15日、マツダの研究開発者がバイオエンプラ(*1)新意匠2層成形技術の開発において、プラスチック成形加工学会の第31回(2020年度)「青木 固」技術賞を受賞したと発表した。
「青木 固」技術賞は、プラスチック成形加工技術の発展に貢献した創造性の高い技術内容を、広く内外に周知すると共に、将来のより深い進歩を促すことを目的に、1990年、プラスチック成形加工学会により創設された賞で、独創的かつ優れた技術に贈られる。
[受賞概要]
■第31回(2020年度)「青木 固」技術賞
– 受賞対象:バイオエンプラ新意匠2層成形技術の開発
– 受賞者:一原 洋平
– 受賞理由(概要):
同技術は、透明感のあるバイオエンプラの表層と、光を反射・吸収して緻密さと透明感を発現する模様を転写した基材との2層成形により、従来技術では困難であった緻密な柄と深みのある色合いが共存する意匠性をもつ成形品を得るものである。量産実績が多数あり、実用化が定着しており、さらに、材料の色や基材に転写する模様を変えることで、多種多様な意匠への適用の自由度も高い。本技術は、我が国のものづくり技術に大いに貢献するものと期待できることから、受賞業績としてふさわしいものと判断した。
マツダは、これまでバイオエンプラの特徴を活かした内外装意匠部品の無塗装化技術開発を行い、材料の持つ優れた環境性能だけではなく、従来塗装では実現できない高質感と、従来塗装工程廃止による環境貢献およびコスト改善を実現してきた。
これらバイオエンプラは、ロードスターの小型内装部品として2015年に初採用され、現在では同社が国内販売するすべての乗用車(*2)の内外装意匠部品にまで拡大。マツダは、その過程においてこの技術を、当初の小型部品から大型外装部品に採用できるようになるまで進化させてきた。
今回受賞したバイオエンプラ新意匠2層成形技術は、これまでのバイオエンプラ無塗装化技術の商品性をさらに向上させるため、従来では実現困難な高い意匠性を実現できる技術として開発され、「MAZDA3」「MAZDA CX-30」のシフトパネル、カップホルダーリッドパネルに採用されている。
*1)バイオエンジニアリングプラスチック(バイオエンプラ): 植物由来原料を使用し、石油資源の使用量削減やCO2排出量の抑制、無塗装によるVOC(揮発性有機化合物)の削減など、環境負荷の低減に貢献できる材料。
*2:「MAZDA2」「MAZDA3」「MAZDA6」「MAZDA CX-3」「MAZDA CX-5」「MAZDA CX-8」「MAZDA CX-30」「MAZDA MX-30」「MAZDA ROADSTER」(2021年6月15日現在)。
■プラスチック成形加工学会:https://www.jspp.or.jp/index.html
■(マツダ)「マツダ、低環境負荷のバイオエンプラ新意匠2層成形技術を開発(2018年12月5日付・ニュースリリース)」:https://newsroom.mazda.com/ja/publicity/release/2018/201812/181205a.html