丸紅は2月15日、ドイツの「RCB Nanotechnologies (以下、RCBNano社)」の株式を、第三者割当増資の引受により取得したと発表した。
再生カーボンブラック精製事業を手掛けるRCBNano社では、現在、使用済の廃タイヤから得られる再生カーボンブラック(recovered Carbon Black/以下、rCB)(※1)を高品質化した次世代再生カーボンブラック(recovered Carbon Black 2.0/以下、rCB 2.0)の製造プラントを建設していると云う。
近年、タイヤ・ゴム業界では、循環型経済の構築と製品の再生可能原料比率の増加を目指し、使用済の廃タイヤからrCBを生成する熱分解リサイクルへの関心が高まっているが、rCBは不純物を含有していること等から、通常のカーボンブラックと同等の品質水準には達しておらず、タイヤの原料としての本格導入は進んでいないと云う。
RCBNano社は、EU最大の非営利研究機関フラウンホーファー研究所と共同で、熱分解リサイクルの後工程として、不純物を含むrCBに独自の化学精製を施すことで、世界最高水準の高純度化を実現する技術により、rCB 2.0を開発。
そのセミコマーシャルスケール(※2)での生産も成功させており、通常のカーボンブラックの完全代替ができる状況にあることから、今後、世界初のrCB化学精製の大規模商業運転に向け、集めた資金を元に新工場の建設を進め、今年末までにタイヤメーカーへの安定供給が開始できるよう準備を進めていくと云う。
左:カーボンブラック。右:工場イメージ図。
丸紅は、中期経営戦略GC2024に於いて「グリーンのトップランナー」になることを掲げており、タイヤ・ゴム製品事業では、ゴム原料の供給からタイヤ等の販売までのサステナブルなバリューチェーン強化を目指していることから、今回の取引を通じて、同技術や熱分解リサイクル技術を発展させ、取引先へ提供するソリューションの質を向上。
また、この技術を活用した廃タイヤリサイクル事業を日本を含めたアジアや米州を中心に全世界へ展開することで、タイヤ・ゴム業界の環境負荷低減とサステナビリティ向上に貢献していくとしている。
※1)カーボンブラック:炭素を主体とした微粒子で、主にゴムの補強材として使用される製品。
※2:商業生産で用いる設備と同規模・同構造のリアクターや主要機材を用いた設備。
<RCBNano社概要>
– 会社名:RCB Nanotechnologies GmbH
– 本社所在地:ドイツ連邦共和国ミュンヘン
– 設立:2020年
– 代表者:Niels Raeder
– 事業内容:再生カーボンブラック精製事業