「あいまい検索」機能を利用した大量技術文書の解析により、製造現場の真因分析を可能にする
AI(人工知能)を活用した自然言語理解・非構造化データ解析機能ソフトウェアの開発・提供企業、米ルミノソテクノロジーズインク(Luminoso Technologies, Inc./本社:マサチューセッツ州ボストン、CEO:Adam Carte)は7月9日、株式会社デンソー(本社:愛知県刈谷市、社長:有馬 浩二)の事業改善に協力して取り組むと発表した。(坂上 賢治)
世界中に130を超える生産工場を有するデンソーでは、日々の生産活動や改善活動の中で、膨大なナレッジが生まれている。しかし生み出された有益なナレッジは世界中に散在しており、かつ表現や形式が多様なため、限られた範疇での情報共有に留まっている。
そこでAI技術の利用を介して様々なナレッジを蓄積。事業内容や国境を越えて実務の生産性向上に取り組む。これについてデンソー生産技術部長の齋藤賢宏氏は、「デンソーは業務の進め方の継続的な改善に努めています。
そうした取り組みの一環として、これまで蓄積してきた大量のメンテナンス記録を活用して、設備の長時間停止につながる潜在的な要因を見つけ出し、より生産性の高い設備づくりに反映したいと考えていました。
しかし自然言語・非構造化データに対する一般的な分析手法では精度が不十分であり、日本語もしくは他言語のコンテンツの意味や文脈を理解する機能が求められています。
ルミノソの自然言語解析ソフトウェアは、設備の長時間停止と関連性の高い要因を可視化して、設備の問題点を網羅的に把握するための高機能かつ高品質なソリューションを提供してくれます」と話している。
さらに齋藤氏は「ルミノソで特に素晴らしいと感じたのは、同社のAIが当社の文書を理解するスピードです。事前準備作業として用語に手動でタグ付けしたり、一般的に機械学習に欠かせないトレーニングや辞書登録も必要ありません。ソフトウェアは与えられた情報をそのまま理解し、当社のエンジニアの生産性向上に必要なメンテナンス記録を迅速に識別してくれます」とその使い勝手への安心感について述べた。
対してルミノソ側は、デンソーの社内に蓄積されている様々なナレッジを共有していくことを進める意向だ。同社では「例えば設備改善の担当者が100万件以上の過去の記録や修理情報の中から、生産性の高い設備づくりに有効な情報を速やかに閲覧することが可能になります。
当社のAIを利用したアプリケーションは、個別の単語だけでなくデンソーのメンテナンス記録における考え方も理解します。また注釈の手動入力やトレーニングを経ず機器名やエンジニアリングの略語(例:「ロボット」を示す「RB」)など、自動車部品分野やデンソー社内の専門用語も理解します。
さらに当社のテキスト分析ソリューションを活用頂くことにより、デンソー社内で何十年にもわたり脈々と培われてきたナレッジから設備故障の根本原因を突き止められます。
この結果、停まらない設備開発につなげることや現場にある大量のFactory IoTデータ(例 :設備や作業員の状態など)と自然言語データのマッチングをブラッシュアップして不具合の復元に要する時間短縮や設備の最適化などにも効果を生み出すことを目指しています」と述べている。