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2020年12月1日【SDGs】

九大、高分子鎖の接着初期素過程の直接観察に成功

NEXT MOBILITY編集部

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九州大学は12月1日、同大学院工学研究院/次世代接着技術研究センターの織田ゆか里助教、田中敬二教授らの研究グループが、固体基板上に孤立して存在する高分子鎖が、熱処理とともにその形態を変化させ吸着していく様子を直接観察することに成功したと発表した。

 

 

同研究の成果は、界面に存在する高分子鎖の構造・物性の特異性を利用した革新的接着技術の構築に必要な情報であるとともに、その実現に向けた大きな一歩となると期待されている。

 

 

次世代モビリティの軽量化を目的として構造部材のマルチマテリアル化が推奨され、将来的にはオールプラスチック化が予測されている。このため、部材の組立は現在のボルト・リベットなどを用いた接合技術から、高分子材料を用いた接着技術へ転換することが喫緊の課題となっていた。

 

 

人命に関わるモビリティにおいて、接着技術を導入するには、学理に基づく強度や耐久性の保証およびそれらに基づいた健全性や信頼性が求められる。しかしながら、現状では、実接着界面での破壊挙動の分子描像はもちろん、その接着機構すら理解できていなかった。

 

 

同研究グループでは、原子間力顕微観察(Atomic Force Microscope; AFM)に基づき、マイカ基板上に孤立して存在する高分子(ポリメタクリル酸メチル(PMMA))鎖が、熱処理とともに基板上でその形態を変化させていく様子を直接観察することに成功。高分子鎖の吸着現象は、従来は分光学的なデータから議論されてきたが、同研究では「直接観察」とともに、分子動力学計算を行うことで形態変化がコンフォメーション転移であることを明らかにした。

 

 

その変化は、被着体上で接着剤が固化していく際の素過程に対応しており、界面コンフォメーションの絡み合い制御方法を示唆していることから、接着強度や寿命予測の理解と設計につながると考えられる。

 

 

モビリティ部材を接着技術だけで組み上げることが可能になれば、軽量化の実現、すなわち、燃費向上による省エネ化、低炭素化が加速する。さらに、センサーの小型化も進展しており、これらを自在に組み立てるための接着が可能になれば、モビリティの自動運転が飛躍的に進展し、安全・安心社会の推進へ大きく貢献すると期待がかかる。

 

 

なお、同研究は、九州大学次世代接着技術研究センターの山本智教授、大学院工学研究院の川口大輔准教授、次世代接着技術研究センターの盛満 裕真博士と共同で行われたものである。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。