クボタは3月24日、出力19kW未満のクラスで同社初となる電子制御ディーゼルエンジン「D902電子制御エンジン(排気量0.898L)」を開発したと発表した。
新燃焼方式TVCR(*1)を採用したこの産業用小型ディーゼルエンジンは、北米EPA(*2)Tier4、欧州 Stage V、中国4次規制(2022年12月施行予定)などの規制に対応可能な排ガス性能と、従来製品からの載せ替えに配慮したコンパクトサイズを両立している。
クボタでは、世界各地の最新排出ガス規制に適合したエンジンをはじめ、世界の建設機械・産業機械メーカーからの多様なニーズに応えることで、100馬力以下の産業用ディーゼルエンジンにおいて世界トップシェア(*3)を維持していると云う。
新製品の「D902電子制御エンジン」は、エンジン寸法や構造の変更による開発負担を増やすことなく、世界各地の最新の排ガス規制(出力19kW未満)に適合すべく開発。
小型エンジン専用に開発された独自のコモンレールシステムを搭載し、新燃焼方式TVCRを採用することで、コンパクトなサイズと搭載のし易さを維持しながら、黒煙を視認できないレベルまで改善したクリーンな排出ガスと低燃費を実現した。
クボタは、このエンジンの量産を2022年に開始し、北米EPA Tier4、欧州 Stage V、中国4次規制(2022年12月施行予定)に加え、中国の国家スモーク規制の中で最も厳しいⅢ類(*4)にも対応可能なモデルとして市場投入する。
*1)新燃焼方式TVCR:小型エンジン専用コモンレールシステムに合うよう新開発されたクボタオリジナル燃焼方式。
*2)EPA(Environmental Protection Agency):米国環境保護庁。市民の健康保護と自然環境の保護を目的とするアメリカ合衆国連邦政府の行政機関。
*3:クボタ調べ。
*4:車両を対象とした中国の規制。車両から排出される黒煙を規制する。
[特長]
<黒煙の排出抑制>
・始動・加速・急負荷時において、黒煙排出を視認できないレベルまで抑制。中国の国家スモーク規制III類にも対応可能。
<低燃費>
・従来機と比較して約5%改善。
<エンジン運転データの取得とドライバビリティ・作業効率の向上>
・電子制御化によりCAN(*5)通信を可能に。車両からの信号でエンジンの回転/トルクを制御することができる。
・テレマティクス技術に必要なエンジン運転データについて、CANを経由して取得可能。
・機械式制御では実現できなかったトルク特性により、急負荷時の回転低下を抑制し、ドライバビリティ・作業効率を向上。
<従来機との搭載互換性>
外観寸法、吸排気位置、エンジンマウント取り付け位置及びPTO(*6)を従来機から変更していないため、容易に載せ替え可能。
*5)CAN(Controller Area Network):ISOにて国際的に標準化されたシリアル通信規格。ホストコンピューターなしで、マイクロコントローラやデバイスが相互に通信できる。
*6)PTO(Power Take Off):エンジン動力を作業機械用の動力として取り出すための機構。
[主要諸元等]
<排気量、気筒数、出力、制御、燃焼方式>
– 0.898L、3、18.5kW、電子制御、TVCR
[問い合わせ先]
株式会社クボタ エンジン事業推進部 (電話:06-6648-3510)