小糸製作所は8月6日、先進運転支援システム(ADAS)および自動運転向けLiDARの製造・販売を行う米国ベンチャー企業である「セプトン・テクノロジーズ(Cepton Technologies/以下、セプトン社)」に、5,000万ドルの追加出資を行うと発表した。
ADAS搭載車・自動運転車における周辺認知技術は、現在、主にカメラやミリ波レーダ等により構成されるが、最新のADAS搭載車・自動運転車(Lv3以上)では、より高精度なセンシングが可能なLiDARの必要性が高まっていると云う。
照明器技術に加え、各種センサの開発を進めている小糸製作所は、この市場ニーズの高まりを受け、昨年2月、以前から車載用LiDARの共同開発を行ってきたセプトン社に、5,000万ドルを出資した。
LiDARは、赤外線レーザを極短時間発光し、対象物からの反射光を受光する際、発光から受光までの時間から距離を計測するセンサ。レーザを上下/左右にスキャン(走査)させることにより、広範囲の対象物の位置と距離を正確に把握するため、そのスキャン方法は、LiDARの性能を左右する最も大きな技術要素になると云う。
セプトン社は、スキャン方法に従来のモーターによる回転ミラー式とは異なる、機械的な摩耗部が無く長寿命かつ耐久性に優れたシンプルな独自構造「マイクロモーションテクノロジー(Micro Motion Technology)」を採用し、自動車部品に求められる高い信頼性と量産性、コストの両立を可能とした。
小糸製作所は、以上の特徴に加え、検知距離、角度分解能といった性能バランスが秀でているとして、セプトン社への投資以降、2023年の量産化に向けて協業。今回、セプトン社がSPAC(Special Purpose Acquisition Company:特別買収目的会社)スキームによる米国ナスダック(NASDAQ)市場への株式上場を計画していることから、協業関係を更に強固なものとすべく、特別目的買収会社「Growth Capital Acquisition社(本社:米国ニューヨーク州)」による私募増資(PIPE)への応募を通して、セプトン社に5,000万ドルの追加出資を行うこととした。
小糸製作所は、今後更に、同社の自動車部品の製品設計、量産化技術と、セプトン社の先進LiDAR技術を組み合わせ、ADAS搭載車や自動運転車向け製品開発を推進していくとしている。
[株式取得会社の概要]
– 名称:Cepton Technologies, Inc.(セプトン・テクノロジーズ)
– 所在地:399 West Trimble Road, San Jose, CA, 95131
(米国カリフォルニア州サンノゼ)
– 代表者の役職・氏名:CEO, Jun Pei
– 事業内容:自動車・輸送インフラ等の各市場向けLiDAR製品の製造・販売
– 設立年月日:2016年4月26日
– 小糸製作所とセプトン社との間の関係
・人的関係:小糸製作所の取締役1名がセプトン社の取締役を兼務。
・取引関係:2018年5月より共同研究を実施。
※セプトン社への追加投資による来年3月期業績への影響については、精査中。なお、セプトン社は、小糸製作所の連結子会社、持分法適用会社には該当しない。
■Cepton Technologies:https://www.cepton.com/