神戸製鋼所「真岡製造所」が、品質管理体制等の問題から、12月8日、JIS認証の「一時停止」の通知を、また、子会社の「神鋼メタルプロダクツ」については、品質管理体制の問題、寸法測定を実施していないにもかかわらず、数値を記入した寸法成績表を顧客に報告し出荷していたことなどから「JIS認証の取り消し」の通知を受けた。
「JIS認証の一時停止及び取り消し」により、「真岡製造所及び神鋼メタルプロダクツ」では、対象製品にJISマークを表示した製品の出荷が出来なくなる。
これに対し神戸製鋼所は、性能的にはJIS規格相当の製品の提供は可能であり、当該出荷製品の出荷先の顧客に対し、連絡及び説明をして、対応していくとコメントしている。
同社では、今回の同社グループでの不適切行為に関して、11月10日に「当社グループにおける不適切行為に係る原因究明と再発防止に関する報告書」を取り纏めて公表。
アルミ・銅事業部門においては、11月10日に事業部門直轄の部として各事業所及びグループ会社の品質管理、品質保証に係る監査機能及び教育・研修に関する役割を担う「品質保証部」を設置するとともに、「真岡製造所」においては、同日付で品質管理機能と品質保証機能を明確に分離して「品質保証室」を事業所長直轄の独立した組織とし、品質管理チェック機能の強化に着手。
また、改ざんやねつ造ができない検査プロセスとするため、試験検査データの記録の自動化を推進するとともに、自動取り込みのできない試験検査に関しては、試験検査業務での一人作業をなくし、必ず複数名で確認する仕組みを構築。
今後、外部委員のみで構成する「外部調査委員会」の報告を踏まえて、諸施策の検討を進め、最終的な再発防止策に反映していくと云う。
神戸製鋼所は、今回、JIS認証の一時停止の原因となった品質管理体制の不備については、再発防止策を着実に実行することで問題を是正し、できるだけ早期に一時停止解除と信頼回復に努めていきたいとしている。
また、本件による業績への影響は現時点で不明であり、今後、影響の程度が判明した時点で公表するとのことだ。
[今回の処分内容:JISマーク表示制度]
①
●認証取得者:
株式会社神戸製鋼所 株式会社神戸製鋼所 真岡製造所
●認証機関:一般財団法人日本品質保証機構(JQA)
●認証番号:JQ0307092
●JIS番号及び名称:
JIS H4000 アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条
●処分内容:JIS認証の一時停止
[神戸製鋼所 真岡製造所の概要]
●所在地:栃木県真岡市鬼怒ヶ丘15番地
●事業内容:アルミニウム板、条、円板の製造
●売上高: 3,233億円(2016年度:アルミ・銅セグメント)
……アルミ・銅セグメントの売上高に占める真岡製造所のJISマーク表示製品の割合は2%程度
②
●認証取得者:
神鋼メタルプロダクツ株式会社 本社工場
●認証機関:一般財団法人日本品質保証機構(JQA)
●認証番号:JQ0807017
●JIS番号及び名称:
JIS H3300 銅及び銅合金の継目無管
●処分内容:JIS認証の取り消し
[神鋼メタルプロダクツの概要]
●所在地:福岡県北九州市門司区小森江2-2-1
●代表者:安藤 裕幸
●事業内容:銅管・加工品・複合材などの製造・販売
●設立年月:1955年5月
●資本金:2億円(神戸製鋼所90.0%出資の子会社)
●売上高:47億円(2016年度)
…同社の売上高に占めるJISマーク表示製品の割合は4割程度
[(参考)これまでの処分内容:JISマーク表示制度]
①
●認証取得者:株式会社コベルコマテリアル銅管 秦野工場
●認証機関:一般財団法人日本品質保証機構(JQA)
●認証番号:
JQ0307066(2017年10月26日取り消し)
JQ0305001(2017年11月15日取り消し)
●JIS番号及び名称:
JIS H3300 銅及び銅合金の継目無管(2017年10月26日取り消し)
JIS H3330 外面被覆銅管(2017年11月15日取り消し)
②
●認証取得者:株式会社神戸製鋼所 長府製造所 アルミ押出工場
軽金属押出開発株式会社(一部の工程を委託する工場:神戸製鋼所29.2%出資の関連会社)
●認証機関:日本検査キューエイ株式会社(JICQA)
●認証番号: QA0607023(2017年12月5日一時停止)
●JIS番号及び名称:
JIS H4040 アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線
JIS H4080 アルミニウム及びアルミニウム合金継目無管
JIS H4100 アルミニウム及びアルミニウム合金の押出形材
・「当社グループにおける不適切行為に係る原因究明と再発防止策に関する報告書(PDF)」:
http://www.kobelco.co.jp/releases/files/20171110report.pdf