神戸製鋼所および神鋼環境ソリューションは10月25日、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の『カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/CO2排出削減・有効利用実用化技術開発』において「製鋼スラグを活用したCO2固定化プロセスの開発」のテーマを提案し、採択された(事業期間:2021年度~2024年度)と発表した。
鉄鋼スラグは鉄鋼製品の製造工程で発生する副産物であり、土木や建築用資材向け製品などとして、ほぼ100%が有効活用されている。また、環境負荷低減に資する製品として、その多くがグリーン購入法の公共工事における特定調達品目に指定されている。
この鉄鋼スラグには鉄鋼材料の不純物(P, Sなど)を除去するために必要なCaなどのアルカリ成分が含まれる。これらのアルカリ成分はCO2と反応しやすいことから、近年、鉄鋼スラグはCO2固定化に有用な素材として注目されている。
鉄鋼スラグへのCO2固定化技術においては、固定化後の生成物である炭酸塩の利用価値向上により、経済性を高めることが重要。但し、鉄鋼スラグにはアルカリ成分以外の不純物も含まれており、利用価値向上のためには炭酸塩の純度を高めることが課題であった。そのため、KOBELCOグループでは環境負荷低減への更なる貢献を目指し、鉄鋼スラグの中でも、特に有用なアルカリ成分を含む製鋼スラグへのCO2固定化技術の開発を進めている。
■課題解決に向け取り組む研究開発項目
・CO2固定化プロセス要素技術開発
スラグからのCa抽出技術の開発、炭酸化技術の開発、溶媒循環技術の開発、全体プロセスの検討
・生成物有効利用方法の開発
Ca抽出済スラグ利用方法の開発、炭酸塩利用方法の開発