神戸製鋼所は、2018年10月1日付で、人工知能(AI)を活用して製品開発力とものづくり力の強化を目指す専任組織「AI推進プロジェクト部」を技術開発本部内に新設する。
同社の幅広い事業分野で培われた多様な経験と専門性を持つ技術者約20名を専任者として配置し、事業競争力の根幹である材料や機械製品の開発とものづくりで、他社との差別化が可能となる技術の確立を目指す。
神戸製鋼では1980年代より、製鉄のプロセス制御分野を主としてAIを活用。2016~2020年度グループ中期経営計画では、対象範囲を拡大させ、ものづくり力の革新に向けてデータ活用活動(※1)を推進し、ディープラーニングを使った画像認識やテキストマイニング(※2)などの活用にも取り組み始めた。
今回はさらに、「AI推進プロジェクト部」の発足とともに、AIの活用範囲を製品開発力の向上にも拡大、下記2点を中心に取り組むとしている。
1. 製品開発力の向上
新たに製品開発のプロセスにもAIを活用し、多様な製品開発の経験を活かした特長あるデータベースを強みとして、開発のさらなる効率化と高度化を実現する。
特に、マテリアルズインフォマティクス技術(※3)については、オープンイノベーションにも力を入れる事で、世界最先端の技術を獲得し、同社が強みとする幅広い材料知見と融合させた革新的な材料開発技術の構築を目指す。
また、「AI推進プロジェクト部」の活動を通じて素材事業の競争力のさらなる強化を進め、同社の推進している「輸送機の軽量化」にも貢献する。
2. ものづくり力強化に貢献するソリューション開発力の向上
プロセスの異常診断技術や予知保全技術、製品検査の自動化など、ものづくり力強化のためのソリューション開発においては、優れた技術や製品を保有する社外パートナーと連携。
課題解決の速度を飛躍的に向上させ、得られた成果の定着とグループ内への横展開を「AI推進プロジェクト部」が支援することで、効率的にものづくり力の強化に貢献する。
また、同社電力事業部門の火力発電所の運転支援への活用にも着手する。
神戸製鋼は、幅広い事業分野を有する同社ならではの価値提供を目指し、多様な経験と専門性に加え、AI技術にも精通する人材の充実にも力を入れ、今後もさらなるAI活用を推進していくとしている。
※1 データ活用活動:大量のデータを効率よく処理し、有効活用する活動
※2 テキストマイニング:テキストデータにデータ分析技術を用いて有益な情報を取り出すこと
※3 マテリアルズインフォマティクス技術:計算科学と情報科学を駆使して新材料を効率的に開発する技術
■(神戸製鋼)AI推進プロジェクト部パンフレット:http://www.kobelco.co.jp/releases/files/180927.pdf