神戸製鋼所は、プレスの生産性に優れたホットスタンプ(※1)用めっき鋼板(焼入れ後強度1500MPa級)を開発し、自動車ボディ骨格部品用途として量産を開始した。
神戸製鋼では、2017年、高生産性ホットスタンプ用冷延鋼板を開発し量産を開始。
同製品は従来のホットスタンプ用冷延鋼板と比較して焼入れ性(※2)を向上させることで、プレス生産性を最大6倍程度に改善。また、加工後の冷却ムラによる強度不足も発生しにくいものとなっていると云う。
さらに、プレス部品形状の自由度の向上やプレス工程内でのトリミングを可能とし、従来必要なプレス後のレーザーカット工程の省略を可能とした。
今回、神戸製鋼は、この冷延鋼板に亜鉛めっき処理を施したものを新たに開発。上記の特長に加え、耐食性の付与を可能とした。
また、同製品に対し、スペインの自動車部品会社であるGestamp社の加工技術を組み合わせることで、今回、欧州自動車メーカーに初めて適用され、量産化に至った。
神戸製鋼は、特長ある高加工性超ハイテン(引張強度780MPa級以上)と高生産性ホットスタンプ用冷延鋼板に加え、今回さらに高生産性ホットスタンプ用めっき鋼板を商品ラインナップに加えたことで、年々厳しくなるCO2排出規制への対応のための「車体軽量化」や、日米欧での衝突安全規制強化への対応のための「車体の強度向上」といった顧客ニーズに応え、価値の創造に貢献していくとしている。
[Gestamp社の概要]
– 会社名:Gestamp Automoción, S.A.
– 設立:1997年
– 所在地:スペイン マドリッド
– 代表者:フランシスコ・ホセ・リベラス・メラ
– 従業員:約43,000人
– 売上高:8,548百万ユーロ(2018年度)
※1)ホットスタンプ:プレス前に鋼板を高温に加熱し、強度が下がり加工性が上がった段階でプレス成型を行う加工方法。プレスしたまま金型で焼き入れることで強度を大きく上げることができる。
※2)焼入れ性:熱処理により鋼材を高温から急冷させた際の硬化のしやすさ。
※タイトル画像:Gestamp社工場