UDトラックスと神戸製鋼所は11月12日、神戸製鋼所の加古川製鉄所内において、UDトラックスが開発したレベル4自動運転技術搭載の大型トラックを用いた自動運搬技術の実証実験を行うことに基本合意したと発表した。
両社は神戸製鋼所の加古川製鉄所内の水砕スラグ運搬コースの一部分のルートにおいて、2022年下半期を目処に、UDトラックスが製造する大型トラック「クオン」をベースとしたレベル4限定領域自動運転対応車両1台を使用し、自動運転の走行実験を実施する。
UDトラックスが2019年に実施した実証実験では、製造現場の限定領域における反復作業の自動化の有用性を確認している。両社は実証実験を通じ、「超スマート社会」に不可欠となるスマート物流サービスと製造・物流現場のデジタルトランスフォーメーション(DX)の促進を目指すとしている。
2019年に実施された自動運転トラックの実証実験(UDトラックス)
我が国では少子高齢化を背景に労働力不足が深刻な社会問題となるなかで、労働力の確保が急務の課題となっている。国立社会保障・人口問題研究所の将来推計(出生中位(死亡中位)推計)によると、生産年齢人口は2030年には6,773万人、2060年には4,418万人(2010年比45.9%減)にまで減少すると見込まれている。
デジタル化により消費行動が大きく変化するなかで、物流を含む流通・サービス業は労働力不足が顕著となり、従来のサービスレベルを維持しきれない状況になっている。またドライバー不足は物流だけでなく、製造現場の持続可能性にも影響を与えている。特に製鉄所の高炉操業は、輸送など関連する業務を含め24時間365日の稼働を前提としているため、ドライバー不足が深刻化すると操業への影響も懸念される。
このような課題に対応するため、政府や業界団体、企業では、高齢者や女性、外国人の受け入れなど、多種多様な人材の活用を積極的に推進するほか、AI(人工知能)やIoT(Internet of Things)など、デジタルテクノロジーを活用した業務効率化の取り組みを加速させている。
こうした背景を踏まえ、両社は神戸製鋼所の加古川製鉄所内において、UDトラックスが開発したレベル4自動運転技術を搭載したトラックを使用した本実証実験を行うこととした。
自動運転のレベル分けについて(国土交通省)