神戸製鋼所と三浦工業は3月5日、同日付の取締役会において、汎用圧縮機事業に関する資本業務提携に向けて具体的検討を進めることに関し、基本合意書を締結したと発表した。なお、汎用圧縮機とは、プラント等に使用される大型のプロセスガス圧縮機を除く、機械製品の製造工場や空圧工具等で使用される中小型の空気圧縮機を中心とした圧縮機をいう。
今回の資本業務提携は、三浦工業による神戸製鋼所の完全子会社であるコベルコ・コンプレッサの株式取得(合弁会社化)を伴うもので、両社では、その背景や具体的内容について以下のように述べている。
1.資本業務提携の理由
神戸製鋼所及び神戸製鋼所の完全子会社であるコベルコ・コンプレッサが行っている汎用圧縮機事業は、日本国内及びアジア地域において高いシェアを有しており、あらゆる産業へ高品質な圧縮空気を安定供給してきた。
三浦工業は、日本国内において省エネ、環境負荷低減に配慮したボイラを業界に先駆けて提案することで高い評価を受けており、特に産業用貫流ボイラ市場ではNo.1のシェアを有する。
神戸製鋼所と三浦工業は、2008年より蒸気を動力源にして圧縮空気を作り出す蒸気駆動式圧縮機の共同開発を行い、その後、蒸気発電機及び排熱回収圧縮機といった製品を展開してきた。特に空気圧縮機の排熱をボイラへ活用することで、ボイラ稼働に必要な消費エネルギーを大幅な削減を実現している。
このように両社は今後、蒸気と空気の分野で培った技術を組み合わせたユーティリティ機器を供給することにより、クライアントの更なる省エネルギー化及びこれに伴うCO2削減を実現することができるようになる。具体例として、代表的な機種において、ランニングコスト:36%削減及びCO2:36%削減が可能となる。そして互いの販売・メンテナンス網を活かしたワンストップサービスの実現に向け取り組んでいく。
これまで、神戸製鋼所と三浦工業は資本関係を持たない形での業務提携を行ってきたが、空気と蒸気という同じユーティリティを扱う両社が互いのリソースを更に有効に活用することで、上記シナジーを発揮し、両社の競争力強化を推進することができると考え、資本業務提携に至った。
今後、神戸製鋼ならびにKOBELCOグループは、多様な事業を営む企業としての特徴を活かし、日本国内だけでなく中国や東南アジアを中心とする海外においても、ニーズに合わせた、CO2の排出を抑えた、効率的なユーティリティの提供を行っていく。
また、三浦工業を含むミウラグループは、蒸気ボイラを核として熱、水処理及び環境科学の分野で事業を展開し、未利用熱の有効利用を含めた熱や水の有効利用を通して工場全体のエネルギーシステムを効率化する提案や商品の提供を行っていく。
2.資本業務提携の内容
現在、神戸製鋼所において汎用圧縮機の製造事業を、コベルコ・コンプレッサにおいて汎用圧縮機の販売事業をそれぞれ行っているが、この度、神戸製鋼所において行っている汎用圧縮機の製造事業を、コベルコ・コンプレッサに対して吸収分割し、汎用圧縮機事業をコベルコ・コンプレッサに集約する。
その上で、三浦工業がコベルコ・コンプレッサの株式の49%を取得し、コベルコ・コンプレッサを神戸製鋼所及び三浦工業の合弁会社とする予定。