川崎重工がダイムラー向けに開発した「高圧水素減圧弁」が、新型燃料電池車のメルセデス・ベンツ「GLC F-CELL」に採用された。
この「高圧水素減圧弁」は、ダイムラー子会社のニューセルシスと共同開発したもので、燃料電池車に搭載している水素タンクから供給さる約700気圧という非常に高圧な水素ガスを、燃料電池スタック(※1)で使用可能な圧力近傍まで減圧。
同社の流体制御技術と、ニューセルシスの燃料電池システムに関する知見により、高精度なガスコントロール技術による効率的な減圧と、発電時の水素ガス圧力を安定化して、省スペース化、かつエネルギーの利用効率を改善。燃料電池車の航続距離の伸長に寄与し、また、20年相当の耐久性試験にクリアしたと云う。
川崎重工は、水素関連事業を成長分野の一つとして位置付けており、今回のダイムラーへの同社製品の採用を、大きな一歩であると、コメント。
今後も、「高圧水素減圧弁」をダイムラーに安定的に供給し、水素利用の拡大に向けた製品開発に取り組み、低炭素社会の実現に貢献していくとしている。
※1:水素と酸素の化学反応を利用して発電する装置。
[メルセデス・ベンツGLC F-CELLの概要]
航続距離:約500km(NEDC値)
燃料充填時間:3分
[ダイムラーの概要]
高級乗用車のサプライヤーかつ商用車メーカー、世界のほぼ全ての国や地域において、コンパクトカーから大型トラックにいたる自動車製品およびサービスを提供。
– 社名:Daimler AG
– 本社所在地:ドイツ シュトゥットガルト
– HP:https://www.daimler.com/en/
[ニューセルシスの概要]
ダイムラー社の子会社であり、自動車向け燃料電池および水素タンクシステムの開発における世界的なリーディング企業。
– 社名:NuCellSys GmbH
– 本社所在地:ドイツ キルヒハイム・ウンター・テック