藤田医科大学(以下「藤田医大」)と川崎重工業(以下「川崎重工」)は2月16日、藤田医科大学病院にてアーム付きサービスロボットと屋内位置情報サービス(iPNT-KTM)を活用した実証実験を実施したと発表した。
今回の実証実験では、川崎重工のアーム付きサービスロボットを活用し、安全・安心を確保しながら、検査室からスタッフステーションまでの検体搬送業務の代替や、スタッフが少ない夜間病棟の見回りを行い、カメラ機能で患者さんの状態変化の有無を確認することで、異常時にはスタッフステーションにアラームを出す見守り機能を検証した。なお、ロボットの位置情報の把握にはiPNT-KTMを使用している。
日本では、高齢化に伴う患者数の増加や労働人口減少による医療従事者の確保への対応が課題となっている。特に新型コロナウイルス感染症と戦う最前線の医療現場においては、感染予防の観点からロボットをはじめとする非接触サービスに非常に高い期待が寄せられている。実証実験では、医療現場におけるロボットの活用により、医療従事者の負担軽減や業務を効率化し、患者さんや専門業務に向き合う時間を最大化することで、より質の高い医療を持続的に提供できる環境を整えることをめざしている。
なお、実証実験は、【フェーズ1~3】の3段階を予定しており、今回は2021年10月に実施した【フェーズ1】に続く【フェーズ2】に該当。2022年度に藤田医科大学病院での導入をめざす。
【フェーズ1】
実証内容:自律走行機能を有したロボットによる同一フロア内搬送の検証+人のエレベータ操作補助あり別フロア移動の検証
時期:2021年10月23日(土)~10月31日(日)(実施完了)
【フェーズ2】
実証内容:自律走行機能・エレベータ連携機能を有したアーム付きロボットによる別フロア間搬送の検証(検体配送・見守り)
iPNT-KTM を活用したロボットの位置情報の把握
時期:2022年2月4日(金)~2月15日(火)(実施完了)
【フェーズ3】
実証内容:サービスロボットによる病院内作業と病院側システムとの連携検証
時期:2022年4月以降(予定)
アーム付きサービスロボットは代替可能な業務が多岐に渡り、将来的にはインフラ(エレベータ・ICカード)との連携だけでなく、アームでモノを掴み・運び・渡す等などのアーム特有の機能の活用が可能。今回の実証実験を通じて藤田医大と川崎重工は、それぞれの知見を活かし、医療現場における労働力不足の解消や医療従事者の負担軽減、また、新型コロナウイルスの感染防止対策など社会の課題解決に寄与していくとしている。