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2018年10月23日【経済・社会】

川金HD子会社、免震・制振用ダンパーの検査データを改ざん

NEXT MOBILITY編集部

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川金コアテック及び、川金ホールディングスは、10月16日のKYB免震・制振用オイルダンパーの検査データの改ざんを受け、免震・制振用オイルダンパーを製造販売する子会社の光陽精機に対し、同種事案の有無について社内調査を実施。

 

その結果、ダンパーの一部について、性能検査記録データの改ざんにより、減衰力性能の基準値からの乖離値が顧客との契約許容値(±10%以内等)を超過していた製品(不適合品)を出荷していたことが判明した。

 

両社は、10月21日、同事案について国土交通省に報告して対応等に関する指示を受け、2日後となる10月23日、その対応状況について公表した。

 

なお、免震オイルダンパーについては、大臣認定で許容されている値(±15%以内)に適合しており、制振オイルダンパーについては、大臣認定に係る製品はないと主張。また、大臣認定の取得時における検査データの書き換えもないとしている。

 

 

[国交省による指示内容]

 

①所有者等関係者への丁寧な説明

・所有者等関係者に対して、事案について丁寧に説明するとともに、是正方法、体制、スケジュールなど是正の具体的な方針を示すこと。

 

②免震・制振性能への影響の検証

・年内を目途に、対象建築物の設計者等の関係者と協力して、速やかに免震・制振性能への影響を検証し、第三者機関の確認を受けること。

 

③交換等の迅速な実施

・顧客の意向を踏まえ、誠意をもって交換等の対応を行うこと。
・交換等の実施にあたっては、所有者等と調整の上、交換等計画を策定し、国交省に報告を行うこと。

 

④徹底した原因究明及び再発防止策の報告

・品質管理方法に関して徹底した原因究明のもとに、再発を防止するための改善策をとりまとめ、国交省に報告し、当該報告に基づき必要な改善策を講じること。

 

⑤出荷製品の品質確保

・交換用の製品を含め、今後出荷するダンパーが顧客との契約に規定された性能を有しているものであることについて、性能確認試験を第三者による全数立会のもとで行うこと。なお、国交省は、同社からの改善状況の報告を受け、品質管理方法が適正なものに改善されたと判断するまでは本措置を継続することとする。

 

⑥相談窓口の設置

・相談窓口を設置し、所有者等関係者の意向を十分に把握し、誠意を持って真摯に対応すること。

 

[事実関係]

 

光陽精機における免震・制振用オイルダンパーの製造の変遷、及び現時点で社内調査で判明している事実は、以下の通り。

 

(1)免震・制振用オイルダンパーの製造変遷

 

・2000 年(平成 12 年) オイルダンパーの製造販売に着手。
・2006 年(平成 18 年) ISO9001 取得。
・2011 年(平成 23 年) ISO14001 取得。制振用ダンパー一般評定取得免震用ダンパー大臣認定取得。

 

(2)改ざん行為の期間及び不適合品について

 

①改ざんが行われた期間は、2005年2月から2018年9月。
②建築物用の不適合品及び対象物件数及び対象製品数は、以下のとおり。

 

 

※また上記以外に、海外の顧客に出荷した制振オイルダンパーで、改ざんが行われたことが判明しているが、現在調査中であり、詳細が判明次第、公表するとしている。

 

③不適合品の都道府県別・用途別の物件数は以下の通り。

 

 

【制振(都道府県別物件数)】

 

 

【制振(用途別物件数)】

 

 

(3)判明の経緯と対応

 

①他社における不適切行為の公表(10月16日)
②社内調査の開始(10月17日)
③事案発覚(10月19日)
④社内調査委員会の立ち上げ(10月20日)
⑤全製品の出荷停止等の対応を指示(10月20日)
⑥国土交通省に対し本件の報告(10月21日)

 

[今後の対応]

 

両社は、同事案を極めて重く受け止め、社長をトップとする社内調査委員会を設置、解明のための徹底的な調査を開始。

 

今後、国交省関係部局に対し、全面的な事実関係の調査・報告を行い、同省関係部局の指示・指導を受け、また所有者、建築会社及び設計事務所に対して、事案に関する丁寧な説明をするとともに、是正の具体的な方針を示し、対象物件の設計事務所、建設会社等の関係者と協力して、速やかに免震・制振性能への影響を検証するとしている。

 

また、所有者、建設会社などの顧客等の意向を踏まえ、交換等の処置を行うとともに、外部専門家の助力も得て、徹底的な調査・原因究明及び再発防止策等、必要な改善策を講ずるとしている。

 

さらに、今後出荷する製品が顧客との契約に規定された性能を有していることについて、第三者立会いのもと性能確認試験をし、品質管理方法を適正なものに改善。所有者等関係者の意向を把握し、対応すべく、下記問い合わせ窓口を設置する。

 

[業績への影響]

 

同件の業績等に与える影響の見込みが判明次第、適宜情報開示を行うとしている。

 

[問い合わせ先]

 

川金コアテック・光陽精機株式会社合同「免震・制振用オイルダンパーお客様ご相談窓口」

電話番号:048-259-1154

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。